「日米決戦」が実現するなら、当初見込みの準決勝ではなく、決勝になった。

MLBのチーフオペレーション兼ストラテジーオフィサーを務めるクリス・マリナク氏が16日、日本とイタリアの試合前に東京ドームで会見し、WBCの今後の日程や組み合わせについて説明した。

【イラスト】WBC決勝ラウンド組み合わせ突然変更?
【イラスト】WBC決勝ラウンド組み合わせ突然変更?

福島良一氏の目 MLB機構がカードを「変更」したのは、ファンのためでしょう。大谷の日本とトラウト率いる米国が最後に戦うというシナリオを、ファンが望んでいると感じたのでは。今大会は全46試合の開始時間がすべて違います。1日最大8試合でもずらしました。臨機応変というのは、MLBならではの差配といえます。

カードが最終的に確定し、準決勝でついに米国-キューバが実現する可能性もあります。オールスターをそろえた米国。初めて亡命した選手を加えたキューバ。過去の政治的対立という経緯もあり、盛り上がることは間違いない。会場のマイアミは、球場のローンデポパークの近くにキューバ移民らが集まる「リトルハバナ」があり、中南米の首都とも呼ばれています。1次ラウンドから大盛り上がりでした。もっとも米国は、最激戦のD組を全勝で勝ち上がったベネズエラとの準々決勝が先に控えます。見どころ十分な試合になるでしょう。

日本対イタリア 5回裏日本無死一、二塁、村上の中適時二塁打で生還し、ハイタッチする大谷(右から2人目)(撮影・鈴木みどり)
日本対イタリア 5回裏日本無死一、二塁、村上の中適時二塁打で生還し、ハイタッチする大谷(右から2人目)(撮影・鈴木みどり)

一方、日本と同じ山は、メキシコ-プエルトリコとなりました。メキシコはC組を1位突破し、戦前の予想以上の結果を出しています。投打のバランスが取れており、特に先発はウリアス(ドジャース)、サンドバル(エンゼルス)ら過去最高の4人がそろいます。打者も1番アロザレーナ(レイズ)、元オリックスの3番メネセス(ナショナルズ)、昨季35本塁打の4番テレス(ブルワーズ)と好選手が上位に座ります。

プエルトリコは、守護神ディアスがアクシデントで離脱となりました。ですが、他の救援陣が、不在をカバーできるほど強力です。アンダーウッド(パイレーツ)や弟のA・ディアス(レッズ)が控えますし、代役の抑えにはロペス(ツインズ)を回すでしょう。捕手マルドナドの存在も大きく、アストロズで出場した昨年はワールドシリーズでの継投ノーヒッター、今大会は継投の完全試合を導きました。

日本はこれまでとは格段に強度が上がる相手と戦うことになります。マイアミは、米国はもちろん中南米勢相手でも完全アウェー。過去の大会で決勝が行われた西海岸とは雰囲気が大きく異なり、時差もほぼ昼夜逆転に。タフなステージに乗り込みます。(大リーグ研究家)(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)

5回、2点適時打を放ち雄たけびを上げる米トラウト(AP)
5回、2点適時打を放ち雄たけびを上げる米トラウト(AP)