昔からメジャーリーグでは「7月31日のトレード期限で補強に成功したチームが世界一になる」と言われています。実際、ドジャースも去年、一昨年とトレード期限の選手獲得成功によって、球団史上初の2年連続ワールドシリーズ制覇を成し遂げました。

そして、今年もまさかと思っていた出来事が起こりました。今回は暦の関係で8月3日(日本時間4日)のトレード期限を前に、何とナ・リーグ西地区でペナントレース独走中にもかかわらず、タイガースから2年連続サイ・ヤング賞に輝く最強左腕タリク・スクバル獲得に成功しました。

タイガースからドジャースに移籍したスクバル(ロイター)
タイガースからドジャースに移籍したスクバル(ロイター)

現在ドジャースは両リーグを通じて1位の先発投手防御率をマーク。また、今季開幕から先発6人ローテーションでエース山本由伸を筆頭に質量とも豊富。そのうえ、先発の柱であるブレーク・スネル、タイラー・グラスノー両投手も復帰予定で、スクバル獲得の必要性はあるのか? それは投手大谷翔平の保険だと思います。

今回のトレード期限でスクバルは最大の目玉投手として注目されましたが、当初ドジャースはスクバル獲得にあまり積極的に動くとは思いませんでした。ところが、7月3日の先発登板を最後に大谷が左ひざの違和感でマウンドから遠ざかり、左ひざの完全回復まで登板しないことによって状況が一変しました。

昨年ワールドシリーズで勝った最大の要因は先発投手陣にありました。第1戦に先発したスネルを筆頭に山本、グラスノー、大谷の順で4人がフル回転しました。しかし、今シーズン4人のうちデーブ・ロバーツ監督が安心してマウンドを託せられるのは山本だけ。残る3人には多少の不安があるからです。

その中で、今年5月に左ひじの遊離軟骨除去手術を受けたスネルは間もなく復帰予定。同じく5月に腰を痛めて負傷者リスト入りしたグラスノーも8月中に復帰の見込みです。しかし、両投手とも本来のピッチングを取り戻せるかは未知数であり、誰よりも最大の懸念材料は大谷にあると思います。

アンドリュー・フリードマン編成本部長は投手大谷の完全復活に自信をのぞかせています。しかし、本当に自信があればスクバル獲得に動かなかったように思います。やはり万が一、大谷が投げられなくなった時のために、その保険としてスクバルを獲得したと思います。

ドジャース大谷翔平(AP)
ドジャース大谷翔平(AP)

また、ドジャースは投手大谷の復活を期待しつつ、今後はスクバルの獲得によって打者に専念させることも考えられます。なぜなら、現在のドジャースで何よりも欠かせないのは1番打者大谷の存在。大谷を打者専念させるためスクバルを獲得したようにも思えます。

とにかく、何が何でもドジャースは3年連続世界一を目指しています。なぜなら、ワールドシリーズ3連覇以上を成し遂げたのは、ア・リーグの名門ヤンキース、アスレチックスの2球団だけ。ナ・リーグで初の3年連続世界一という歴史を作りたいからです。

はたして、ドジャースは最大の目玉だったスクバル獲得によって残りシーズン、大谷を投打二刀流で使うのか? それとも打者に専念させるのか? それが一番気になるところです。【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)