以前警官による黒人射殺事件などから人種差別への抗議のため、アメリカのスポーツ界で国歌演奏時に膝をつく抗議行動が広がっていることを紹介した。その時はレッズのヘーナン・イリバレン内野手などがとった不動の姿勢が悪ふざけだったことで問題にはならなかったが、今度はSNSへの人種差別的な投稿が出場停止処分に発展する騒動が起こってしまった。

 マリナーズのスティーブ・クレベンジャー捕手が22日にSNSツイッターに投稿した2つのツイートが不適切だとして、チームが即座に今シーズン残り全体の無給の出場停止処分に課したことを発表したのである。

 2つのツイートでクレベンジャーは黒人射殺事件について「国歌演奏でひざまずきつづけろ!」とあざけったり、オバマ大統領は哀れだとしたうえで「みんな動物のように鉄格子の裏に閉じ込めるべきだ!」とも書いている。

 これに対し、チームのジェリー・ディポト・ゼネラルマネージャーは23日、「昨日スティーブの投稿が判明してすぐチームにおける彼の処遇について全てのオプションの検討を開始した。今日我々はシーズン残り全体の無給での出場停止を彼に宣告した」との声明を出した。

 クレベンジャーは6月に負傷して以来これまで出場しておらず、今シーズンの年俸は51万6500ドルと見られている。23日時点でシーズンは残り10日間で、この間の支払い予定額は約2900ドルということだ。

 問題の投稿は既に削除されているがその画像は広く拡散しており、この問題が広く認識されることとなった。

 クレベンジャーはニュースサイト、ビジネス・インサイダーに対し「まずシアトル・マリナーズとチームメイト、家族、我々のゲームのファンに、自分の個人的なツイッターのページに投稿したツイートが今日公になったことで起こった混乱に対して謝罪したい。自分は誰かが人種差別的な言葉で考えたかと思うと気分が悪くなります」とし、ニュースを見た反動で衝動的に投稿を行ったこと、文化的に多様な都市ボルティモアで育ったこと、憲法で保証された表現の自由を遵守することなどを主張した謝罪コメントを寄せたということである。

 今回の人種差別問題に対する動きはアメリカの社会全体に広がっているだけに、クレベンジャーが今後その立場を回復するにはかなりの時間と謝罪の行動を示し続けることが必要かもしれない。