長年に渡りライバル関係あるヤンキースとレッドソックスにまた新たなスキャンダルが起こってしまった。5日付けのニューヨーク・タイムズ電子版が「レッドソックスがヤンキースに対しサインを盗む助けとしてアップルウォッチを使っていた」という記事を掲載したのだ。

 記事によればこのサイン盗みの疑惑についてヤンキースは長い間フェンウェイパークでレッドソックスが捕手のサインを盗んでいると疑っており、8月に行われた3連戦でレッドソックスのトレーニング担当スタッフがアップルが発売するスマートウォッチ、アップルウォッチを使いベンチから得た球種などの情報を選手らに伝えた様子をビデオに収めることに成功したのだという。

 このビデオをヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMがMLB事務局に提出し、MLBも調査を行ったということだ。その結果、レッドソックスは過去数週間にわたって複数のトレーナーがビデオ検証担当者からの情報を選手たちに送っていたことを認めたということである。その一方でレッドソックスのジョン・ファレル監督は地元紙ボストン・グローブに対し選手たちがサインを盗もうとしていたことは知っていたが、装置が使われていたことは知らなかったとコメントしている。その上で「止めさせるべきだった」とかたったということだ。

 機器を使ってサインを盗む行為は禁止されているが、証明することが難しいこともあり、ロブ・マンフレッド・コミッショナーがレッドソックスにどんな処罰を下すのか、下さないのか執筆時点ではわかっていない。ただ当該試合の勝利の抹消や罰金、ドラフト指名権の停止などの可能性も指摘されている。

 その一方で、ただただやられていないのがレッドソックスである。この報道が出るや、反対にヤンキースがヤンキース戦の中継を行っている傘下のテレビ局、YESネットワークのカメラを使ってサイン盗みをしていると逆に訴えたのだ。ニューヨーク・タイムズによればこの件でヤンキースはコメントしなかったということである。

 サイン盗みに関してはこれまでも様々な疑惑が出てきた。今回もスマートウォッチを使う時代になったかと、まずは驚いたというのが正直なところだ。ただそれ以上にヤンキースとレッドソックスのドロドロとしたライバル関係にはまたか、と思わずにはいられないのである。