イチローが会長付特別補佐を務めるマリナーズが球団幹部たちによるセクハラで揺れている。これは有力紙ニューヨークタイムズが、ケビン・メイザー球団社長兼CEOから過去に性的嫌がらせを受けたと女性元社員が訴えていると報じたことに端を発したもの。

 現地25日、マリナーズは筆頭オーナーのジョン・スタントン氏とメイザー社長の連名で声明を出すに至った。スタントン氏によると、2人の女性社員が10年以上前に幹部による不適切な言葉や扱いを訴えていたという。スタントン氏は、外部の専門家が調査を行い、「適切な規律、管理と感性のトレーニング、その他の是正措置を課した」と述べている。

 記事によれば、マリナーズは社長になる前だったメイザー氏のために働いていた女性エグゼクティブ・アシスタントと後に上級副社長に就任するボブ・エイルワード氏付きだったもう一人の元女性社員の2人が約50万ドル(約5500万円)の賠償で和解したという。同紙はさらにチャック・アームストロング元社長からキスを強要されたと主張する3人目の女性とも別に和解したとも伝えている。

 既に退任しているエイルワード氏とアームストロング氏からは声明が出ていない。

 マリナーズは和解について否定しなかったが、肯定もしていない。ただ球団担当弁護士は声明でチームこの件について「従業員に対する金銭的報酬を支払い、従業員が救済される財政的補償を課した」と述べている。

 メイザー社長は自分自身について「不愉快な現実に直面する」ことは謙虚な経験だと述べ、自分の行動への責任と行動について謝罪した。さらに「自分の行動を変える機会とマネジメント・トレーニングを受けることについて感謝している」とも語っている。

 一方、声明でマリナーズはメイザー氏が2014年に社長に、17年にCEOに昇格する際、この問題に訴求していたとし、賞賛している。「ケビンは経験から学び、それ以来優れたマネージャーと役員を務めています。 もし我々が彼のリーダーとしての能力と我々の高い基準に見合うかという点に疑問を持っていたら、ケビンを昇格させなかっただろう」とした。

 ただ記事が報じられなかったらこの件は表に出ていなかったと思われ、球団のこれまでの対応に疑問は残る。さらにいわゆる#Metoo運動が社会全体に広がるなかで、今回の声明がどのように受け取られるかという懸念があるのも確かだ。