現地6日、AP通信など複数のメディアがMLBとMLB選手会が全30チームがアリゾナ州フェニックス近郊に集まり、無観客で公式戦を開催することで協議していると報じた。

これに対し賛否の声が上がっている。7日付のニューヨークポスト電子版によれば、ロイヤルズのトレバー・ローゼンタール投手は「私は計画を支持している。MLBがこの計画をできるだけ早く実施することは、国の最善の利益になると思う。それは私たち全員に刺激を与え、模範を示す機会を私たちに与えるだろう。厳格な新しいガイドラインを順守することで、全国のビジネスの分離と機能のモデルを示すことになる」と自分たちがアメリカ社会の復活を示せることを強調したということだ。

一方、純粋にプレーしたい気持ちを表したのはヤンキースのアダム・オッタビーノ投手だ。「(アリゾナのアイデアを)見た。自分には良い洞察力があると言えないが、自分はそのアイデアを支持する側にいる。実際に実現するには多くのことをクリアしなければいけないと思うが、プレーしたいのでうまくいくことを願っている」と語っている。

その一方で否定的な意見も多い。同紙によればメッツのある選手は「それは地獄だ。毎日華氏120度(摂氏49度)で、毎週ダブルヘッダーで20日連続プレーすることを意味する」と表現している。ダブルヘッダーや連続試合数はまだ協議されていないと思われるが、日程が夏場にかかればアリゾナが40度を超える猛暑に見舞われるのは間違いない。

また同紙は別の記事で、このアイデアがアリゾナ州には10のスプリング施設があり、さらにダイヤモンドバックスの本拠地チェイスフィールドやアリゾナ大学、アリゾナ州立大学のスタジアムが揃っていることから出たものと指摘。その上で無観客試合とはいえ、選手やコーチ、審判、テレビクルー、グラウンド整備員など多数の人間が集中し、社会的距離を保つことができるのか。また、選手に陽性者が出た場合、対処はどうするのか。選手が家族に会うことを望んだときに移動はどうするのか。そもそも医療および科学機関から基準を得られるのか。などと課題が多く、実現を疑問視していることを伝えた。

こうした声を受け、MLBは7日、議論を行っていることを認めた上で「選択肢の1つとして、ある1カ所の地域で試合を開催することについて話し合いを行った。ただ、この案に決定はしていない。また、詳細な計画も進めていない」という公式文書を出している。

財政的にチームも選手もシーズンを開幕したいのは同じだが、国家的な危機が依然続く中、先行きは不透明なままだ。