6月も半ばとなったが、MLBのオーナー側と選手会との対立は続いている。オーナー側が再度示した提案を選手会がまたも拒否し、6チーム以上のオーナーがシーズン中止の意向を持っているとの報道もあった。このままでは開幕できたとしてもシーズンとプレーオフ、ワールドシリーズが大幅に後ろ倒しされる可能性が高い。ただそれに待ったをかけたのが国立アレルギー感染症研究所の所長で、アメリカで感染対策の指揮をとるアンソニー・ファウチ氏だ。

現地16日にロサンゼルス・タイムズ紙に語ったもので、同氏は今年は9月を越えてベースボールがプレーされているのを見たくないという。

ファウチ所長は「時期が問題だとすると、真夏の時期を守りたいです。寒くなる10月の終わりまでワールドシリーズがプレーされるべきではありません。それは避けたいです」とコメント。

さらに「アリゾナやカリフォルニアのような暖かい気候ですら、外出制限を緩和したことで再拡大が起こり始めています。しかし7月の終わりと8月と9月の全てで問題が少なくなる可能性は10月に行うよりはるかに良いと思います」と10月に行われること、いわゆるオクトーバーベースボールは避けるべきだとした。

その上で「『たぶん』と強調しなければなりませんが。このウイルスは我々をだまし続けています。起こりうる可能性として、何も確実はことはありませんが、寒くなり始め、人々が屋外よりも屋内で長くすごすようになるとウイルスは活発になります。コミュニティで感染する可能性は高くなります。保証はありませんが真夏の時期を守れば、より良い結果を得られる可能性があります。インフルエンザと秋の第2波が重ならない時期に行われることをお勧めします」と語っている。

またスタジアムに観客を入れることについて「劇的な感染の減少が起こらなかったとしても、スタジアムの半分や3分の1といったぐらいのスペースを空けた座席配置で十分だと思います。全員がスタジアムでマスクを着用する必要がありますが」との考えを示している。

大多数のアメリカ人から厚い信頼を寄せられているファウチ所長のこうした意見をオーナーと選手達はどれぐらい切迫感を持って受け取っているだろうか。