60試合に短縮された2020年MLBレギュラーシーズンがいよいよ終盤を迎えており、現地29日からはプレーオフに突入する。そんな中、ロブ・マンフレッドMLBコミッショナーがワールドシリーズとナ・リーグ優勝決定シリーズで観客を入れる計画を明らかにし、注目されている。22日付の米紙USAトゥデー電子版が伝えたもの。これまでは全試合が無観客で行われてきた。

今年のプレーオフは出場チームが16チームに拡大され、バブルと呼ばれる厳しい隔離措置の中での開催が特徴となっている。今週、全選手とスタッフはプレーオフに向け厳しい感染防止策をとった上で、ホテルとスタジアムのみに行動場所が制限されている。

ワイルドカードは3回戦制でよりシード順の高いチームの本拠地で行われる予定だ。

続く地区シリーズはナ・リーグがテキサス州での限定開催となり、アーリントンのグローブライフ・フィールドとヒューストンのミニッツメイドパークが会場となる。対してア・リーグはカリフォルニア州南部の限定開催で、ロサンゼルスのドジャース・タジアムとサンディエゴのペトコ・パークが会場に選ばれた。

さらにリーグ優勝決定シリーズはナ・リーグがアーリントン、ア・リーグがサンディエゴで行われ、ワールドシリーズはアーリントンでの開催となる。

つまりアーリントンでの最終2シリーズのみ有観客で行いたいというのだ。コミッショナーは「テキサスではファンを入れる方向で進めている。ファンの存在は野球の重要な要素だ。スタジアムにファンがいて、安全でリスクのない環境でファンがいるという道を歩み始めることは、私たちのゲームにとってとても、とても重要だ」と語ったということだ。

ではなぜアーリントンでの最終2シリーズのみなのか。まず背景にあるのは開催地の州政府のコロナ対応に差があることがある。テキサス州は現在スポーツイベントで観客を入れることを許可している数少ない州の一つだ。今週同州のダラスで開催されたプロアメリカンフットボールNFLの試合では2万1000人を超えるファンが入場した実績もある。対して現在感染者数が最も多いカリフォルニア州はスポーツイベントに観客を入れることを許可していない。このためサンディエゴでのア・リーグ優勝決定シリーズは無観客にするしかないのである。

一方、テキサス州での地区シリーズを無観客にするのは開催までの時間がないためだろう。実際、アーリントンでの最終2シリーズに関してもまだ州政府や選手会の承認をとれておらず、今回の発言もあくまでコミッショナーの考えという形である。またチケットがどんな形で販売されるかも未発表だ。

ただ例え2シリーズだけでも有観客での開催となればMLBにとって大きな前進となるのは明らかではある。