新型コロナウイルスの世界的流行が続く中でアメリカではワクチン接種が進み始めている。その波はMLBにまで達し始めたようだ。スポーツ専門局ESPNは現地24日、ヤンキースのアーロン・ブーン監督が先週ワクチンを接種したことを明らかにし、選手やスタッフに可能となれば接種を勧めると話したと報じている。

ブーン監督は24日に行われたブルージェイズ戦後、「私は1週間前に接種しました。私は我々の選手やスタッフが接種することを勧めるつもりです。より多くの人がワクチンを受けられるようになるという話があります。特に若い人たちや健康な人たちの間では、より多くのことが起こり始めているように思います。願わくば、私たちが大量に入手できるようになることを願っています」と話したということだ。

47歳のブーン監督は2009年に心臓切開手術を受けており、3月初旬にはペースメーカーを装着するために短期間の医療休暇を取っていた。ニューヨーク州では、合併症や基礎疾患を持つすべての人と、50歳以上のすべてのニューヨーカーにワクチンの提供を拡大している。ブーン監督は受けたワクチンの種類や2回目の接種が必要かは明らかにしていない。

一方で、ヤンキースの監督として選手以外の人にもワクチン接種を勧めるかどうかという質問に対して、「その判断は個人的なものだ」とし、「確かに、私がそのことについて尋ねられたとき、そして私たちの仲間と話したとき、私は確かにそれを奨励します。しかし、私が誰かに伝える立場ではないと思っています」と語るにとどめている。

実際、アメリカでは過去の人種差別的な経緯からワクチン接種をためらう人も多いようだ。71歳でMLB最年長の監督であるアストロズのダスティ・ベイカー監督もその1人で、40年間にわたり、黒人男性を対象に患者のインフォームド・コンセントを得ずに未治療の梅毒を調査した「タスキギー実験」の影響でワクチン接種をためらっていたという。

しかし考えを改め、スプリングトレーニング開始前にワクチン接種を受けたということだ。「これは厄介な状況だと知っている。多くの人がワクチンを信用していない。しかしすべきことをするべきだ。私の提案はためらっている人のためのものだ。ワクチンを接種してくれ」とコメントしている。

MLBも24日、「各州の規制でワクチン接種が認められれば、クラブ関係者がワクチン接種を受けることを強く推奨します。私たちは、自分たちのプラットフォームを使って、ワクチンの安全性をアピールし、ファンに接種を促す機会を歓迎します」という声明を発表した。

アストロズをはじめ、レンジャーズ、カージナルス、ダイヤモンドバックスなどのチームは、今後数週間のうちに選手やスタッフがCOVID-19ワクチンを接種できるようになることが期待されているという。ワクチン接種が進み、シーズン開幕とともにさらなる規制緩和が行われることに期待したい。