現地8日、ニューヨーク州クーパーズタウンにあるクラーク・スポーツセンターでアメリカ野球殿堂入り式典が開催される。昨年、新型コロナウイルスの流行により中止に追い込まれたため、今回は2020年に選出された「クラス・オブ・2020」が殿堂入りとなる。選ばれたのはデレク・ジーター氏、テッド・シモンズ氏、ラリー・ウォーカー氏、マービン・ミラー氏の4人だ。

我々にとって最もなじみ深いのはやはりジーター氏だろう。1995年にメジャーデビューを果たすと2014年までヤンキース一筋でプレーを続け、「ザ・キャプテン」と呼ばれた。この間、96年の新人賞に始まり、14回のオールスター選出、5回のワールドシリーズ制覇、2000年にはワールドシリーズMVPに輝き、ゴールドグラブ賞5回、シルバースラッガー賞5回、ハンク・アーロン賞を2回獲得している。まさに押しも押されもせぬMLBを代表するスター選手だった。ただ近年はマーリンズのCEOとして苦労しているが。

シモンズ氏は1970年にカージナルスでデビューし、スイッチヒッターの好打者、捕手として活躍した。最初の7シーズンで打率3割3厘以上を5回記録し、オールスターに4度選出されている。75年の193安打は、1シーズン150試合以上出場した捕手としては最多だ。80年にブルワーズにトレードされ、86年にブレーブスに移った後、88年に引退している。通算記録は打率2割8分5厘、2472安打、248本塁打だった。

ウォーカー氏はカナダ出身で、元々アイスホッケーのプロ選手を目指していたことで知られる。しかし16歳で挫折を味わい、野球に転向。その才能を見いだされ、84年に当時のエクスポズとドラフト外のフリーエージェントとして契約、89年にメジャーデビューを果たした。その後急成長し、3回の首位打者、5度のオールスター選出、7回のゴールドグラブ賞、3回のシルバースラッガー賞に輝いている。

4人目のミラー氏は元選手としての選出ではない。66年から82年までMLB選手会の事務局長を務めた人物である。MLB選手会を全米有数の労組に成長させ、選手たちの地位向上に努力した。フリーエージェント制度が導入されたのもミラー氏の功績である。導入された76年、選手の平均給与は年5万ドルだったが、引退した82年には24万1497ドルに達していた。2012年11月に逝去している。

こうして見れば4人はそれぞれ殿堂入りして当然といえる人物ばかりだ。式典が楽しみである。