いよいよ開幕したワールドベースボールクラシック(WBC)。日本ではまさに人気沸騰という状態だが、アメリカやドミニカの豪華布陣など各国の”本気度”も上がった大会になっている。ではアメリカでの人気・注目度はどうだろう。

MLB公式サイトのチケット販売ページを見てみると、日本時間9日朝の時点ではアリゾナ州フェニックスで開催されるアメリカとメキシコという注目度の高いC組1次ラウンドで売り切れているのは現地12日に開催されるメキシコ対アメリカ戦のみという状況だ。

フロリダ州マイアミで行われるD組の場合、ニカラグア対プエルトリコ、ドミニカ共和国対ベネズエラなど4試合が完売となっていた。他の3試合も定員に近い状態だ。D組はイスラエルを除いて中南米の国ばかりで、マイアミはそうした国への玄関口であるため、観戦意欲にもつながっているのだろう。かなり配慮された組み分けであることがわかる。

準決勝、決勝については既に完売している。とはいえ、決勝について公式二次流通サイトSeatGeekでは、バックネット裏のクラブシートが3276ドルするものの、1階内野席で200ドル台、3階席なら104ドルというものもあった。この価格なら日本の優勝を信じて見に行きたいという人もいるのではないだろうか。

MLBは2017年大会で記録された総観客数約100万人、1試合平均約2万4000人という記録を更新するだろうという見方を示している。

一方、アメリカでの試合中継だが、今大会は大手メディアグループ、Foxが放映権を獲得して全試合を放映している。これまで放映権がなかなか売れなかっただけに大きな前進だ。

だが、そのうち地上波Foxで放送されるのはアメリカ本土での開幕初日となる11日のメキシコ対コロンビア戦とアメリカ対イギリス戦、18日の準々決勝1試合という3試合のみ。他はスポーツ専門チャンネルであるFS1とFS2が大半で、動画配信サービスのtubiのみも3試合となっている。準決勝、決勝に関してもFS1で、地上波では放送されない。FS1は有料チャンネルなのでおのずと視聴者が限られてしまう。

この時期、アメリカでは絶大な人気を誇る全米大学バスケットボール選手権、通称マーチマッドネス(3月の熱狂)が14日から開催されるため、WBCはまだその人気に太刀打ちするにはほど遠く、メディアの扱いなど致し方ないのは事実だ。それでも着実に成長を続けていると感じている。