イチローが、またしても「メジャー新記録」-。マーリンズのイチロー外野手(43)が、メッツ戦に「7番中堅」でフル出場し、第2打席に敬遠四球で出塁。日米通算で24年連続敬遠四球となり、23年連続だったメジャー記録を“更新”した。5回裏には、1イニング2安打を放つなど、4打数2安打1打点だった。

 数々の偉業を遂げてきたイチローにとっても、「想定外」の記録だった。3回裏2死二塁の好機に、メ軍ベンチはイチローに対し、敬遠策を選択した。今季初の敬遠で、日米通算24年連続敬遠を記録。マーリンズの球団広報によると、1967年にレッドソックスで3冠王に輝いたヤストレムスキーと、メッツなどで活躍したスタウブの23年連続を抜く「メジャー新記録」となった。「そんなんもありますか。へえ~、そうですか。それ、面白いね」。勝負を避けられるのは、強打者の証明。無表情のまま、バットを地面に置くことなく、自軍のボールボーイに丁寧に手渡しする姿が、またイチローらしかった。

 今季からのルール変更に伴い、投手が1球も投げることなく「通告」だけでも故意四球が認められるようになった。イチローにとっては、この日が初の「0球敬遠」だった。

 「面白くないね。ダメだね、あれ。あれは戻さないとダメでしょう。戻せよ、という感覚。そう思いました。空気感があるでしょ、4球の間に。面白くないですよ」

 1番打者として四球が少ないとの声がある一方で、故意四球は日米通算279個目。マリナーズ時代の02年にはリーグ最多の27敬遠を記録するなど「イチロー回避」は、メジャー球界の常識だった。それだけに、投手とのタイミングを計り、「空気感」が伝わる従来の敬遠からの変化に、違和感を隠そうとはしなかった。

 5回裏には、先頭打者として左前打を放つと、打者一巡した2死三塁から右前へ適時打。昨年6月13日のパドレス戦以来となる1イニング2安打をマークした。「多くないとはいえ、初めてではないので特別な気持ちもないですけど」。中堅としてのスタメン出場も、43歳331日と大リーグ最高齢を更新。イチローの記録ロードは、まだまだ終わらない。【四竈衛】

 ◆カール・ヤストレムスキー 1939年8月22日、米ニューヨーク州生まれ。61年にデビューし、23年間レッドソックス一筋で活躍。67年に3冠王に輝き、2012年にカブレラ(タイガース)が達成するまで「最後の3冠王」と呼ばれた。主に左翼を守り、ゴールドグラブ賞7度。通算安打数は歴代8位の3419本。球宴に18度選出され、89年に殿堂入りした。

 ◆ラスティ・スタウブ 1944年4月1日、米ルイジアナ州生まれ。63年にコルト45s(現アストロズ)でデビュー。右翼手を務めた。69年に新球団エクスポズ(現ナショナルズ)に移籍し中軸を担った。その後はメッツなど計5球団でプレー。エ軍は93年に背番号10を永久欠番にした。メジャー23年間で通算2716安打、292本塁打、1466打点。

 ◆日本の敬遠連続年数 谷繁元信が89~14年に記録した26年連続が最長。谷繁は投手が打席に入るセ・リーグで強打の捕手だったため敬遠が多かった。