【アナハイム(米カリフォルニア州)3日(日本時間4日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(23)が、再び厳しい内角攻めに合い始めた。レンジャーズ戦に「5番指名打者(DH)」で出場し、3打数1安打。先制のホームを踏み、チームの勝利に貢献したが、レンジャーズとの3連戦では執拗(しつよう)な内角攻めと左腕に苦しめられ、10打数2安打。今後への課題が明確に表れた。二刀流を阻もうとするメジャーの壁に対し、持ち前の超ポジティブ思考で挑む。

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 思い切って内角球を引っ張った。2回の第1打席。1死走者なしから大谷が放った打球は一塁手のミットをはじき、強襲安打となった。内角球をとらえ、先制の口火となったが「体感としては良いなとは感じていない」と、納得の一打とはならなかった。

 レンジャーズ3連戦で、相手の「大谷対策」は徹底していた。3試合で内角へ17球、真ん中へ10球、外角へは14球。厳しい内角攻めに腰が引ける場面も多く見られた。大谷自身は「そんなに偏りはないかなと感じている」と気にしていないが、以前より内角球が増えたのは明らかだった。「各球団、各捕手、それぞれ好みの配球があると思うので、その色が出ると思う」。5月末のヤンキース戦では外角と高めの球を中心に攻められ、9打数無安打。今3連戦では内角中心の攻めに10打数2安打と、チームごとに変わる「大谷対策」に苦しめられている。

 打開策は大谷の「ポジティブ思考」にある。この日、報道陣から「(バットの芯で)とらえたと思っても、イメージ通りに結果が出ない時があるとするならば…」と質問を切り出された。すると「あるとするならば? ないです。ヘッヘッヘ」と豪快に笑い、その場を和ませた。無安打に終わった日でもネガティブな発言はない。冷静に話すことも多いが、会見でもクラブハウスでも表情は明るい。繰り返す言葉は常に「勉強になる」。同僚のリチャーズから「いつもポジティブだね」と言われる超プラス思考が、大谷の強みだ。

 この日も、相手の内角攻めに対しての質問に切り返した。「結局どこに(球が)来ても、ベースの上を通過するのは変わらない。いいスイングを心がければいい」。内角が多かろうが、左腕だろうが、打てる球に対してバットを振る。余計なことは考えない。「次の試合で、どうやって、良い方向に自分をもっていけるかだけ。1試合1試合、一生懸命できればいい」。今は苦しめられていても、至ってシンプルな言葉が、明日への期待を膨らませる。