【シアトル(米ワシントン州)=四竈衛】ヤンキース田中将大投手(29)がマリナーズ戦に先発し、8回3安打無失点無四球、今季最多となる10奪三振の快投で11勝目(5敗)を挙げた。

危なげない102球だった。唯一のピンチだった6回無死二塁ではギアを切り替え、3アウトをすべて三振に仕留め、ホームを踏ませない。「徐々に良くなっていったという感じです」。7回には左打者の内角へのツーシームで見逃し三振。8回にはこの日の最速151キロを含む5球連続の速球勝負など、多種多様な引き出しで勝負した。完璧なまでに試合を支配し、過去3勝無敗の敵地シアトルのスコアボードに「0」を並べた。

試合後は、北海道胆振東部地震の被災地への思いも口にした。自身は駒大苫小牧高で活躍し、まい夫人は札幌市出身。兵庫県出身ながら、家族、親戚、友人も数多い。米国から限られた情報を収集しながら、被災地が本当に必要とする復興支援を検討していることを明かした。「状況、タイミングを見ながらやらないと、逆に迷惑がかかってしまう。何か直接助けになることがあれば、とも思っています」。

容易に「勇気」「希望」を口にするつもりはない。プロである以上、マウンドで最善を尽くす姿勢は変えようがない。「日々、自分と向き合って、こつこつ自分のやるべきことをやっていく。その繰り返しです」。シーズン佳境、そして被災した北の大地へ、心を込めて田中は言った。

▼田中が今季初、大リーグ移籍後では通算13度目の2桁奪三振。相手打者9人全員から三振を奪った。田中の全員奪三振は日米を通じて初めて。日本人投手の全員奪三振はダルビッシュがレンジャーズ時代の14年7月18日ブルージェイズ戦で記録して以来2度目。