エンゼルス大谷翔平投手(24)が1回1死、右腕ラミレスの速球を中堅へ運ぶソロ本塁打を放ち、日本勢では松井秀喜(元ヤンキースなど)以来2人目の20号に到達した。自身のメジャー1年目の日本選手最多本塁打記録を更新した。マリナーズ戦では初めての本塁打となり、憧れのイチロー球団会長付特別補佐(44)の前で歴史を刻んだ。

史上初の歴史的な1発は、センター方向へ美しいアーチを描いた。大谷は2点先制した1回1死、じっくり、ボールを見極めた。「良い(打席の)入りが出来て良かった」。カウント3-1からの5球目、ほぼ真ん中に入ってきた速球を見逃さなかった。打球は中堅フェンス際でスタンドイン。「すごくうれしい」と振り返ったメジャー20号に、4万2292人の観客も一斉に沸いた。

日本人メジャー選手では松井秀喜以来、8年ぶりのシーズン20本。しかも、初めて、憧れのイチロー球団会長付特別補佐の前で放った。イチローをして「(日本人メジャーで)初めてのホームランバッター」と言わしめた節目の1発。「自分ではホームランバッターだと思っていない」と謙遜しながらも、表情は緩んだ。「正直、実力よりも本塁打が出ていると思う」。それでも、角度良く舞い上がったアーチは、まさに長距離砲らしい打球だった。

狙って打ってはいない。本塁打になりやすい角度に「勝手になっている」と言う。心がけることは、好球必打-。考え方は至ってシンプルだ。「来た球を打つ。球種、コースではなくて、ストライクゾーンに来た球を打つのが一番」。無意識のスイングがホームラン性の打球を生んでいる。7月下旬、メジャー最長の15打席連続無安打を経験したが、8月以降に一気に状態を上げてきた。本塁打のペースが上がっていることには「単純なパワー、(ボールの)捉え方、それは確実に上がっている。打ち取られている打席でも、少しの進歩が確実に手応えになって、次の打席に生かされている」と、技術的なスキルアップの手応えはある。

シーズン20本、10登板以上は1919年のベーブ・ルース以来、99年ぶり。当時のルースは7盗塁で、8盗塁以上も加わると、メジャー史上初という。「まだ(シーズンは)終わっていないので、明日からまた切り替えて頑張りたい」。この向上心が、歴史をまた生んでいく。【斎藤庸裕】

◆20号 大谷が、日本勢では松井秀喜(元ヤンキースなど)以来2人目の20号。自身のメジャー1年目の日本選手最多本塁打記録を更新。松井は20本塁打以上を5度マークし、2004年の31本塁打は日本選手最多記録。大谷の自己最多は日本ハム時代の16年の22本塁打。