エンゼルス大谷翔平投手(24)が、アスレチックス戦に3番DHでフル出場し、メジャー1年目を終えた。2点を追う9回には先頭で中前打を放ち、逆転サヨナラ勝ちの起点となった。右肘靱帯(じんたい)の損傷が見つかるなど平たんな道のりではなかったが、投手として10試合に先発登板し4勝2敗。打者では114試合で打率2割8分5厘、22本塁打、61打点、10盗塁。ベーブ・ルース以来となる本格的な投打の二刀流で活躍した。
お祭り騒ぎのホームベース付近で、大谷は思いっきりはしゃいだ。「見ての通り良い形で逆転できて、良い終わり方が出来て良かった」。2点を追う9回、先頭で中前打を放って出塁し、4番マルテの二塁打で生還。1点差とすると同じ新人の5番ワードが逆転サヨナラ2ランを放った。プレーオフには進出できなかったが「来年につながる」。1年目を締めくくるサヨナラ勝ちを心から喜んだ。
1年目は苦闘から始まった。「キャンプは全然ダメでしたし、思うようにいかなかった」。オープン戦では防御率27・00、打率1割2分5厘にとどまり、自信が揺らいだ。だが、「そこがあってシーズンを良いものにできた」。開幕直前にスプリットを磨き、ノーステップ打法に変更した。4月上旬には初登板勝利や3試合連続本塁打などで週間MVPに選出された。米メディアが「SHO TIME」と表現した快進撃が始まった。
6月には肘の故障で約1カ月の離脱を強いられ「もどかしい感情はあった」が「整理していけた」と振り返る。「打てない、打てるとか、抑えられない、抑えられるというのは実力の問題」とレベルを上げることに集中した。「毎日感じるのは、やっぱりまだまだうまくなれるというところ。そう感じる日が、日本にいた時よりもすごく多い」と充実感いっぱいだった。
「対戦した中で一番難しかった投手、打者は」と聞かれると「やっぱりバーランダー投手(アストロズ)はすごく、僕も勉強になることもたくさんあった。ベッツ選手(レッドソックス)には先頭打者で本塁打を打たれている」。アストロズの204勝右腕、ア・リーグ首位打者ら猛者たちとの対決には心が躍った。
メジャーでの本格的な二刀流はベーブ・ルース以来。70年前に亡くなった伝説の人と重ねて見られることが多かった。「すごくうれしい気持ちはもちろんある。神様みたいな存在だと思うので、なかなか、自分とどうのということはない。野球を辞めるときに、自分がどうなっているのか、またその時で良いと思います」と穏やかな表情だった。
10月の第1週には右肘の手術を受ける。打者に専念する来季に向けて「まずはしっかりリハビリを頑張って何とか来年にいい流れをもっていけるように、ポストシーズンに行けるように頑張りたい」。また、新たな1歩を踏み出す。【斎藤庸裕】