また、見逃せない日々が始まる。エンゼルス大谷翔平投手(24)が、7日(日本時間8日午前8時10分開始)の敵地でのタイガース戦でいよいよ復帰する。

昨年10月1日に右肘のトミー・ジョン手術を行って以降、着実にリハビリを重ね、打者としての復帰にたどり着いた。相手先発は、昨シーズン苦手とした外角低めを丹念に突くタイプの左腕ノリス。雌伏の時を使い、いかに「コールドゾーン」を克服しているか。いきなり見どころ満載の対戦となる。

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大谷が復帰戦で当たるのは、メジャーでもひときわ異彩を放つ個性派左腕だ。メジャー6年目の左腕ノリスは、14年にメジャー有望株トップ25に選ばれたほどの期待の投手だったが、その年に甲状腺がんの告知を受け、度重なる故障も克服して今季は自身初めての開幕からフルシーズンメジャーを目指す苦労人だ。

私生活はユニークで、普段はフォルクスワーゲン(VW)の中古大型バンの中で、月800ドル(約8万8000円)で質素な車上生活を送る。バンで移動しては趣味のサーフィンをし、夜はベンチで寝ることもあるという。昨年11月の日米野球で来日した際には、もう1つの趣味であるカメラを持って原宿など東京の裏道を歩き回り、プロ顔負けの芸術的な写真をSNSに投稿。人々とも気さくに交流した。日本をよく知るノリスが、大谷の復帰戦に注目が集まることも十分承知。自身も今季の復活をかけているだけに、全力で向かってくるだろう。

ノリスの投球スタイルは、90マイル(約144・8キロ)前後の速球とスライダーを主体に、ときおりカーブやチェンジアップを織り交ぜる。左打者にはインハイの速球もときに使ってくるが、投球の主体は速球とスライダーでのアウトロー攻めだ。

初顔合わせとなる大谷は、昨季の対左腕が打率2割2分2厘、2本塁打、13打点。特に左腕の外角球には1割に届かないゾーンもあり、苦労していた。リハビリ期間中に修正していることは間違いなく、2年目の大谷が「左腕の外角」をどう克服してくるのか。ノリスとの攻防が試金石となりそうだ。【水次祥子】

◆ダニエル・ノリス 1993年4月25日、米テネシー州生まれ。11年ドラフト2巡目(全体74位)でブルージェイズに入団し、14年9月にデビュー。15年途中にタイガースにトレードされた。移籍後は毎年故障に悩まされ、昨季は11試合の登板のみ。15年8月19日のカブス戦ではキャリア初打席初本塁打を記録。今季6試合(先発3)で1勝0敗、防御率3・47。メジャー6年間で通算13勝17敗、防御率4・48。今季年俸127万5000ドル(約1億4000万円)。188センチ、84キロ。左投げ左打ち。