【アナハイム(米カリフォルニア州)20日(日本時間21日)=四竈衛】大谷、離脱ピンチ-。エンゼルス大谷翔平投手(24)が、思わぬアクシデントに見舞われた。

「3番DH」で出場したツインズ戦の8回、ハーフスイングした際、内角速球が右手薬指を直撃。検査の結果、骨に異常はなかったものの、スイングと投球の「二刀流」の両面でスローダウンする可能性が出てきた。

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端正な顔が苦痛にゆがみ、突っ伏したままの大谷はしばらく動けなかった。8回。カウント0-2から大谷の右手薬指を、左腕ロジャースの内角へ食い込む時速150キロのツーシームが直撃した。静まり返る本拠地のスタンドをよそに、三塁塁審は死球ではなく、スイングと判定し、記録は空振り三振。駆け寄ったオースマス監督、トレーナーらの不安げな表情と、痛みに耐える大谷の姿に、視線が集中した。

幸運にも、大事にはいたらなかった。球場内で検査を受けた結果、骨には異常なしと診断された。試合後のオースマス監督は「骨に異常がなかったのはいいニュース。腫れているようだが、早いうちに戻れるだろう」と、比較的軽症であることを説明した。ベンチへ向かう際、大谷も右手の指を何度となく動かすなど、最悪の事態は避けられたものと見られる。

もっとも、楽観的な要素ばかりでもない。精密検査の予定はないものの、今後の出場については21日(同22日)の試合前、担当医、トレーナーが再チェック。患部に腫れがあることからも、100%の状態でスイングすることは困難と見られるだけでなく、昨年10月の右肘手術からの復帰直後でもあり、痛みを押して強行出場する理由もない。

今回のアクシデントは他球団の大谷対策が、より本格化してきた一端とも言える。特に、中堅から左中間方向へ飛距離が出る大谷の場合、内角高めへの配球は不可欠。8日の復帰2戦目で右肘に死球を受けたように、打者に専念する今季、より厳しい内角攻めは避けられそうにない。

試合後の大谷は、治療などに時間を費やし、報道陣の前に姿を見せることはなかった。第1打席の四球で8試合連続出塁と伸ばした一方で、4試合連続でマルチ三振。長期離脱は免れても、2年目の大谷を待ち受ける関門は、決して少なくない。