【アナハイム(米カリフォルニア州)28日(日本時間29日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(24)が、アスレチックス戦に3番DHで出場し、4打数3安打で打率を3割1厘とした。

右前打、三塁内野安打、右中間二塁打と広角に打ち分け、俊足も生かして今季5度目の1試合3安打以上をマーク。月間30安打はメジャー自己最多を更新し、日本人ではイチロー、松井秀喜以来、3人目のシーズン打率3割がみえてきた。

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打球があちらこちらへ飛ぶ。大谷が超広角打法でフィールドを支配した。2得点に沈んだエ軍打線の中で3安打の固め打ち。右前へのクリーンヒット、快足を飛ばして三塁内野安打、打球速度177・5キロの高速ライナーで右中間二塁打と打ち分けた。打率は3割を超え「比較的、納得できている打席が多い。1打席1打席、切り替えていけている」と胸を張った。

右へ、左へ-。両サイドのコースに逆らわず、捉えれば安打となる。第3打席は外角高めのボール球に長い腕を伸ばし、三塁線へ球足の速いゴロを放った。第4打席では内角ギリギリの直球を右中間へ力強く打ち返した。厳しいコースにも対応できる状態に「全体的に見たら、甘い球をしっかり打てているなという印象かなと思う。いい(ボールの)見え方はしている」と充実感を漂わせた。

不利なカウントでも確実に捉える率が高い。この日の3安打は全て追い込まれてから放ったもの。5月、2ストライクから1割1分6厘だった打率は、6月は同2割6分9厘に上昇。「基本的にはストライクゾーンに来た球を打つだけ」と涼しげだったが、「ゾーンに来た球に関しては(スイングの)軌道をずらすことなく、対応できる」。意識せずとも自然にバットが出るようになってきた。

規定打席に達して打率3割以上となれば日本人ではイチロー、松井秀以来3人目。ゴロでも俊足で安打とし、力強いスイングで長打を放つ。この日の打撃は先人の大打者2人をミックスさせたような打撃だった。月間30安打もメジャーで自己最多を更新し「日に日に体調もそうですけど、良くはなっている。1日1日が大事かなと思うので、まずは明日明後日、頑張りたい」。球種、コース、関係なく何でも打てそうな無双状態。ますますゾーンに入ってきた。

◆日本人のシーズン打率3割 01~10年まで10年連続で記録したイチロー(マリナーズ)と、05年松井秀(ヤンキース)の2人だけ。100打席以上に条件を広げても、他には06年松井秀(ヤンキース、3割2厘=172打数52安打)しかいない。

○…米野球データサイト「ファングラフス」によると、今季の大谷は逆方向の左翼側への打球が増え、センター方向を中心に両翼へほぼ均等に打っている。一方、ハードヒット率は昨季が43・1%なのに対し、今季は48・7%と打球を強く打つ割合が上がっており、球をとらえて広角に逆らわず強い打球を飛ばしていることが分かる。

MLBのデータ解析システム「スタットキャスト」では、今季の大谷の平均打球速度は93・3マイル(約151キロ)で、リーグの上位2%に入る。また同データはコンタクトの質によって今季見込まれる打率を割り出し(xBA)ており、それによると大谷はリーグ上位8%に入る2割9分8厘。これらのデータによって、コンタクトの質と打球速度の向上が確認できる。