大谷翔平投手(24)が所属するエンゼルスに悲報が走った。先発左腕のタイラー・スカッグス投手が1日(日本時間2日)、遠征先テキサス州のホテルで急死した。球団が発表した。27歳だった。死因などの詳細は公表されておらず、同日にアーリントンで予定されていたレンジャーズ戦は中止となった。

あまりにも突然の悲報だった。エ軍の先発ローテの中軸を担っていたスカッグスが、誰にも知られることなく、息を引き取っていた。地元警察によると、1日午後2時18分、遠征先のホテルの部屋で発見。反応がなく、その場で死亡が確認された。現時点で、死因、経緯などの詳細は明かされておらず、事件性はないとみられる一方で、捜査は続けると発表された。

予期せぬ展開だった。同2時30分過ぎ、この日のスタメンが発表された。レ軍先発が左腕でもあり、トラウトがDHに入り、大谷は休養する予定だった。この時点で、チームに一報は伝わっていなかったとみられる。ところが、その直後、同投手の死亡が確認され、エ軍が試合中止を発表。球場入りしていた一部選手、首脳陣は、グラウンド内に姿を見せることなく、宿舎へUターンした。

今季のスカッグスは、ここまで7勝7敗、防御率4・29。6月29日(同30日)のアスレチックス戦に先発し、5回途中まで2安打2失点と奮投しながら敗戦投手となったばかりだった。前日、本拠地アナハイムからの移動の際には、大谷ら同僚と一緒に「カウボーイ」の衣装でチャーター機に乗り込むなど、いつもと変わらず元気で明るい姿を見せていた。

エ軍全体が悲しみに暮れた。球団はプライバシーの尊重を理由に大谷らのコメントを発表しないとしたが、主砲トラウトは自らのツイッターで思いをつづった。「今感じているこの深い悲しみは、言葉では表現できない。チームメート、友人、そしてひとりの人間として、我々の心の中に残り続けるだろう。愛しているよ、背番号45」。

2日にはカーピノ社長、エプラーGM、オースマス監督が記者会見を行う予定で、試合実施については未定。スカッグスを兄貴分として慕っていた大谷にとっても、平常心でグラウンドに立つことは極めて難しい状況であることは間違いない。

◆タイラー・スカッグス 1991年7月13日生まれ。米カリフォルニア州ロサンゼルス出身。サンタモニカ高から09年ドラフト1巡目(全体40位)でエンゼルス入団。12年にダイヤモンドバックスでメジャーデビューし、14年にエ軍復帰。同年8月に左肘を手術し15年は全休。昨季自己最多8勝(10敗)を挙げ、今季は7勝7敗、防御率4・29。メジャー通算96試合で28勝38敗、防御率4・41。左投げ左打ち。193センチ、102キロ。昨年末にカーリー夫人と結婚。

<スカッグスを悼む声>

◆エンゼルスの声明 大きな悲しみ。タイラーはこれまでも、そしてこれからも重要なエンゼルスの一員。カーリー夫人と家族が早く元気になられますよう、心からお祈り致します。

◆エ軍エプラーGM エンゼルス、家族、そして全員にとって悲痛な1日。彼は多くの人の人生に感動を与えてきた。チームメート、コーチ、フロント、全員から愛されていた。

◆エ軍水原一平通訳(インスタグラムに英文で)「この悲しみを言葉にすることができません。1日目から僕と翔平を歓迎してくれて、クラブハウスになじめるように常に目をかけてくれました。翔平が適応できたのもあなたの存在のおかげです」

◆エ軍プホルス内野手(インスタグラムで)「素晴らしい選手の人生をたたえたい。今日、我々はチームメートを失った。家族に祈りをささげる」

◆エ軍ウォルシュ投手(ツイッターで)「まさに悪夢だ。信じられない。信じたくない」

◆ロイヤルズ・マルドナド捕手(元同僚、ツイッターで)「ショックを受けている。信じられない」

◆ツインズ・クローン内野手(元同僚、ツイッターで)「結婚式で一緒に踊り、笑い合ったのがまるで昨日みたいだ。君が思っているよりみんな寂しがっているよ」

<現役中に亡くなった主なメジャー選手>

◆ヨルダノ・ベンチュラ投手(ロイヤルズ) 17年、ドミニカ共和国で交通事故死。25歳。

◆ホセ・フェルナンデス投手(マーリンズ) 16年、マイアミ沖でボート事故死。24歳。

◆トミー・ハンソン投手(ジャイアンツ傘下) 15年、コカインとアルコールの過剰摂取による臓器不全。29歳。

◆オスカー・タベラス外野手(カージナルス) 14年、ドミニカ共和国で交通事故死。22歳。

◆グレッグ・ハルマン外野手(マリナーズ) 11年、母国オランダで実弟に刺され死亡。24歳。

◆ジョシュ・ハンコック投手(カージナルス) 07年、飲酒運転による交通事故死。29歳。

◆ジョー・ケネディ投手(ブルージェイズ) 07年、米フロリダ州で高血圧性心疾患により死去。28歳。

◆コリー・ライドル投手(ヤンキース) 06年、マンハッタンで操縦していた小型飛行機がマンションに激突し死去。34歳。

◆マイク・ダール外野手(パドレス) 02年、アリゾナ州で飲酒運転により交通事故死。25歳。

◆ダリル・カイル投手(カージナルス)02年、遠征先シカゴのホテルで心臓発作。33歳。

◆サーマン・マンソン捕手(ヤンキース)1979年、操縦する自家用機が墜落。32歳。

◆ロベルト・クレメンテ外野手(パイレーツ) 72年、支援物資を届けるためニカラグアに向かう飛行機が墜落。38歳。