逆襲のナショナルズが、球団初の世界一に輝いた。ワールドシリーズ第7戦、終盤の鮮やかな逆転劇でアストロズに快勝。先発マックス・シャーザー投手(35)も5回7安打2失点と粘投した。首都ワシントンDCのチームとしては95年ぶりの快挙で、ワイルドカードからの勝ち上がりは14年のジャイアンツ以来5年ぶり。劣勢の状況を何度もはね返し、アストロズ優勢の下馬評を覆した。

最後までナショナルズらしさ全開だった。2点を追う7回、3番レンドンのソロ本塁打で1点差。1死一塁とし、5番ケンドリックの2ランで逆転した。6回まで劣勢も、終盤の3回で6得点。一気にひっくり返した。初の世界一に導いたマルティネス監督は「信じられない。選手の皆がやってきたことをすごく誇りに思う」と感慨に浸った。

昨オフ、スター選手で球団の顔だった強打者ハーパーが抜け、打線の核を失った。左腕コービン、右腕サンチェスら先発投手を補強したが、シャーザー、ストラスバーグ以外は小粒の選手ばかり。序盤50試合で19勝31敗と後れを取った。マルティネス監督が「はね返す力がある」というチームの粘りはここから始まった。唯一の生え抜き選手ジマーマン、36歳のケンドリックらがチームを引っ張り、21歳のソトが4番として成長。昨年に比べ「明るくなった」と地元メディアも口をそろえるように、自然と和が生まれた。

短期決戦でもエースの苦境を全員でカバーした。第5戦、シャーザーが首痛で先発を回避。ショックを受けていたが、当日の朝、夫人から「皆を信じて。あなたは第7戦に投げるんだから」と励まされた。言葉通り、土壇場の第6戦で力投したストラスバーグに、希望をつなげてもらった。

出番となった天王山。7安打を打たれながら2失点と踏ん張った。終盤で打線が応え、マルティネス監督は「選手同士がお互いを信じていた。私も彼らを信じていた」。データ偏重の風潮もある近年のメジャー。それだけでなく、チームプレーや結束力の強さを見せたナ軍が、栄冠を勝ち取った。【斎藤庸裕】

◆ワシントン・ナショナルズ 球団拡張の69年にモントリオール・エクスポズとして史上初めて米国以外(カナダ)に本拠地を置いて創設。エクスポズ時代のプレーオフ進出は81年だけ。経営難などにより01年に大リーグ機構の管轄下に入り、05年にワシントン移転。12年に移転後初の地区優勝を果たし、その後3度優勝したが、いずれも地区シリーズで敗退。エクスポズ時代を含めると伊良部秀輝、吉井理人、大家友和らが所属。本拠地は08年開場のナショナルズパーク。