ドジャース前田健太投手(31)のツインズ移籍が9日(日本時間10日)、決まった。複数の米メディアが報じた。ツインズは前田のほか1000万ドル(約11億円)を受け取り、ドジャースは若手の快速右腕ブラスダー・グラテオル投手(21)と今季のドラフト全体67位指名権などを得る。レッドソックスを含めた大型の三角トレードこそ不成立となったものの、ドジャースが両球団と個別に折衝し、諸条件を見直して決着した。

一時は破談情報まで流れた大型トレードが、キャンプインを目前にしてようやく決着した。4日(同5日)の時点でドジャース、レッドソックス、ツインズの間で三角トレードが大筋で合意したが、レッドソックスが故障歴のあるツインズグラテオルの獲得に難色を示したことで、交渉は暗礁に乗り上げた。その後、早期決着を望むMLB選手会が異例の声明文を発表するなど、混沌(こんとん)とした状況になっていた。

そんな中、主導権を握ったのがドジャースだった。世界一奪回を目指すため、18年MVPのレッドソックスベッツ獲得を最優先事項として折衝を継続。ベッツは年俸が約30億円でオフにはFAになるが、3年9600万ドル(約106億円)の契約を残す12年サイ・ヤング賞左腕のプライスとの“セット”で経費削減を目指すレッドソックス側の意向をくんだ。さらにレッドソックスが先発として二の足を踏んだグラテオルを救援として評価し、故障リスクを承知で着地点を模索した。

プライスの残りの契約の半額(約52億8000万円)をレッドソックスが負担する一方、ドジャースはツインズへ前田だけでなく、1000万ドル(約11億円)を支払うことにも合意。当初、三角だったベクトルの動きを、ドジャースを中心とする両球団との間で双方向に修正するプランに変更し、交渉は進展した。

その結果、ドジャースはレッドソックスからベッツ、プライスの獲得に成功。レッドソックスには、ドジャースから外野手のバードゥーゴと、内野手のダウンズ、捕手ウォンの若手有望株が移籍することが決まった。

ベッツ獲得に執着するドジャースにすれば、高額のプライスよりも若く、起用法が多彩な前田を放出してまで、今回のトレード成立にこだわった。ツインズ側は、実績、経験とも豊かな前田を必要としており、今季ドラフトの全体67位指名権をドジャースへ譲渡。各球団の複雑な思惑が重なった結果、大型トレードが成立した。