【アナハイム(米カリフォルニア州)19日(日本時間20日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(26)が、抜群の修正力を見せた。

紅白戦に登板し、5イニング相当、73球で5安打無失点6奪三振。四球は4つで、前回のストライク率40・6%から61・6%と大幅に改善し、直球の球威も増した。メジャー復帰マウンドは中6日で開幕3戦目、26日(同27日)のアスレチックス戦となる予定。右肘のトミー・ジョン手術から1年10カ月。次回登板でいよいよ、二刀流復活となる。

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大谷の腕は見違えるほど振れていた。4回、チームの若手有望株NO・1のアデルと対した。2ストライクから捕手のサインに首を振り、決め球を選択。伸びのある外角低め直球で見逃し三振を奪った。紅白戦3度の登板で187球。4度対戦したアデルをぴくりともさせない、会心の1球だった。「指にしっかりかかったボールもある。投げ心地的には前回よりも全然いい」。登板を振り返る表情は、すがすがしかった。

大谷の神髄が表れた。術後初の実戦登板となった7日は、フォームに力感もなく、7四球とストライクが入らなかった。その状態をわずか2週間足らずで修正。「投げる度に良くなっている」。フォームは13日の前回登板より重心が低く、踏み込んだ左足にも粘り強さが見られた。直球の球威だけでなく、課題としていた2ストライク後の変化球も大幅に改善。この日6三振のうち4つをスライダーとスプリットで奪った。「全体的に前回より進歩している」と手応えもあった。

もっとも、感覚的には完全ではない。「100マイル(約161キロ)を何球も何球も投げているという感覚はない」と本来のイメージとはいかない。開幕を目前に「1個三振とれるまで、1勝できるまでっていうのはやっぱり不安はある」と正直な気持ちも吐露した。また、コロナ禍で厳戒態勢の影響で、対外試合の登板機会もなかった。それでも「できなかったことばかり考えても仕方ない。できたことをしっかり試合で出せるように」と前を向いた。

開幕前の最後の調整登板を終え、26日のアスレチックス戦でいよいよ、メジャー復帰マウンドに上がる。「楽しみにはもちろんしている。その前に打者で開幕があるので、まずはそこが最初の試合」。舞台は2年前、投打でメジャーデビューを飾った敵地オークランドだ。「チームとしては勝つ、優勝する。それだけ。個人的には、ケガなくしっかり出続けるというのが一番大事」。誓いを立て、復活のシーズンに臨む。

○…投手大谷はデーゲームに強い。メジャー1年目と同様、週1度、日曜日に登板となる予定。今季のエ軍は日曜日の試合が全てデーゲームで組まれており、この日の紅白戦も午後1時10分から行われたが、マドン監督は「明日(試合で)サンディエゴに移動するから」とシーズン想定ではないことを強調した。大谷が18年に挙げた4勝は全てデーゲームで、防御率も2・18と好成績を残している。