レッズ秋山翔吾外野手(32)が21日(日本時間22日)、本拠地で行われたタイガースとのオープン戦に1番左翼で出場し、米国初本塁打を放った。第3打席に中堅バックスクリーンへ鮮やかな同点3ラン。メジャーデビューとなる24日(同25日)の開幕戦を前に、巧打だけでなく、パワーのある打撃を披露した。

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米国初アーチを架けても、秋山は淡々と振り返るばかりだった。本拠地のバックスクリーン芝生席へ飛び込む同点3ラン。「他の安打と変わらない。本塁打が出たから良かったというのは特別ないですけど、いいコンタクトができたのは良かったです」。完璧なスイングと最高の結果でも、秋山いわく「数字的にはノーカウント」。手放しで喜ぶ感覚とは無縁だった。

春季キャンプ、再開したサマーキャンプを通して持ち前のミート力は実証済みだった。その一方で、秋山自身は、メジャーの屈強な投手に対抗できる強い打球を追い求めてきた。公式戦に入れば、状況に応じた巧打や粘った末の四球は自ずと増える。ブランクを経た末、限られた準備期間では、結果を必要としながらも、たとえ凡打でも捉えた感覚を欲した。「本塁打を打ったことより、やられた打席のやられ方、塁に出るすべをもっと考えて結果に結び付けていきたい」。ファウルにできなかった一ゴロ、速球待ちで初球の変化球に対応できなかった三ゴロ…。西武の9年間で培った数々の引き出しを1打席ごとに開けながら確認する職人かたぎは変わっていない。

3月以来、約4カ月ぶりの対外試合。紅白戦と違い、本番仕様のスタメンに1番で起用された緊張感もあった。「あらためてそこを守り切る、1番をシーズン最後まで打てるようにやりたいと強く思いました。5打数無安打だったらレギュラーで明日からも行けるか、という不安は持ちながらやっていくと思います」。

オープン戦とはいえ、レ軍は序盤の5点ビハインドを5本塁打で逆転した。破壊力抜群の打線で任される1番。「自分の役割は、塁に出ることだというのが重要だと思いました」。初アーチをよそに凡打に目を向け、足元を見つめ直す32歳は、やはり並みのルーキーではない。