今季からマリナーズに移籍した平野佳寿投手(36)が6日(日本時間7日)、レンジャーズ戦に登板し、新天地初となるセーブを挙げた。

4-2と2点リードした9回に救援。1死後、ソロ本塁打を浴びたものの、全3アウトを三振で奪って締めくくった。公式戦再開前、新型コロナウイルスに感染したベテランが、苦難を乗り越え、重責を任される立場に帰ってきた。

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百戦錬磨の大ベテランは、ダイヤモンドバックス時代の昨年4月18日以来、507日ぶりのセーブにも、さして意に介することなく、淡々と振り返った。今季6戦目で初のセーブ機会。「抑えは1点取られても勝てばいい。ただ、失投を打たれたのは反省しなきゃいけませんね」。出番は4-2と2点をリードした9回。1死後、ソロ本塁打を浴びたものの、全3アウトは三振。試合を締めた後、平野はようやく、にこやかに笑った。

変則シーズンの今季。7月のサマーキャンプ開始前、新型コロナウイルスに感染した。入院を要するほどの重症ではなかったものの、微熱が続き、アリゾナ州の自宅では約10日間、自室にこもる日々が続いた。同じ屋根の下で生活しながらも、子供たちとは一切接触せず、治療に専念した。「どうなるか分からなかったです。陰性が出るまでどう対応していいものか。悪いニュースを見ていると、急変するかもしれないとか。治療薬もないし、自分で治すしかない。多少の不安はありました」。幸い平温に戻り、徐々にプールなどで体を動かし始め、キャンプ地アリゾナで再始動。8月下旬に本拠地シアトルへ合流した。

開幕には間に合わず、フリー打撃登板のみの突貫工事でメジャーに復帰。それでも、着実に調子を取り戻し、この日は最終回を任された。現時点で、首脳陣から正式にクローザーとして指名されたわけではなく、平野自身に特別なこだわりはない。「中継ぎも抑えも、それぞれしんどさ、おもしろさがある。どこで投げても一緒。そんなにセーブに思い入れはないです」。実際、ウイニングボールは勝利投手となった先発ダンに手渡した。「メジャー1個目だったら持って帰りますけどね」。マ軍を今季初の5連勝に導いたベテランは、余裕たっぷりに、少しだけ笑った。