レッズ秋山翔吾外野手(32)が、メジャー1年目の挑戦を終えた。ブレーブスとのポストシーズン(PS)ワイルドカードシリーズ第2戦に「1番左翼」で出場し、4打数無安打。チームは2連敗で敗退となった。“ルーキーイヤー”の今季はコロナ禍による異例の60試合シーズンで打率2割4分5厘、0本塁打、9打点。日本を代表するヒットメーカーが、メジャー特有のスタイルに苦しんだ。それでも、9月のレギュラーシーズン月間打率は3割1分7厘でPS進出に貢献。明確な課題と収穫を得て、来季へと歩みを進める。

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ポストシーズンわずか2試合でも、秋山には貴重な経験だった。試合後のベル監督の言葉が突き刺さった。「悔しい、負けて終わるというのがあるからこそ、ポストシーズンに勝ち残った時の喜びがあるんだと。胸に響いたものがあった」。ともに戦ってきた仲間と短期決戦に挑み、勝ち負けの瞬間に一喜一憂する。例年より6球団多い16球団で頂点を争う、メジャー特有の雰囲気を肌で感じた。

再認識した課題もあった。「初めてで、球の軌道が分からない中で結果を出し続けないといけない。僕がメジャーでやらないといけないこと」。この日は同じ1年目のブ軍の右腕アンダーソンの前に3打席凡退。「1、2打席ダメで、3打席目に何とかならなかったのか。地力がないとできない」。9月に打撃面で好感触を得たが、再びハイレベルな初見の投手に完敗。PSに進出したからこそ、力不足を痛感した。

覚悟していたことでもあった。開幕前。17年のWBCと3月のオープン戦を踏まえ「映像と実際の球質のすり合わせっていうのが、見たよりも違ったなという投手もいた。すぐ自分のスイングで表現しなきゃいけないっていう難しさもあった」と明かしていた。頭では理解していても、表現=結果への壁は、高かった。

日本で打率2割5分を切ったのは1年目のみ。140試合超の期間でアジャストし、たとえ前半は精彩を欠いても、3割に帳尻を合わせてきた。しかし、今シーズンは、新たな舞台に加え、試合数も日本の半分以下の60。対応に苦しむ中、左腕先発時はスタメンから外された。前日の第1戦も、右投手時の代打で1打席だけ。「右でも左でも出るには、ラインアップに必要だと思わせるような選手でないといけない。9番だろうが全試合出る方が価値がある」と力を込めた。

苦しみ、活路を見いだし、再び壁にぶつかったメジャー1年目。最後はPSで、負ける悔しさを改めて痛感した。「勝って喜び続けられるようなチームであり、選手でありたいというのはまた改めて思いました」。てっぺんを目指す秋山の戦いは続く。【斎藤庸裕】