【テンピ(米アリゾナ州)1日(日本時間2日)=斎藤庸裕】二刀流復活を見てくれ!エンゼルス大谷翔平投手(26)が、今季初実戦で初打席初安打を含む3打数2安打2得点と活躍した。ホワイトソックス戦に「2番DH」で出場し、オープン戦では自身初となるマルチ安打をマーク。この日は本拠地に1864人の観客を動員。昨年3月10日のマリナーズ戦以来、約1年ぶりとなるファンの前でのプレーで、好スタートを切った。

   ◇   ◇   ◇

大谷はうれしそうだった。日米メディアによる質疑応答で打撃を振り返る中、表情が緩み、声のトーンも上がった。「楽しかったです。去年の公式戦よりも公式戦っぽいというか、それはすごく、打てる打てないにかかわらず、楽しかったです」。観客2000人以下に限定され、1864人と満員には程遠い少なさだが、本拠地の球場内で飛び交う歓声を肌で感じた。

コロナ禍で無観客だった昨シーズン。オフにこう明かした。「やっぱり変な感じですね。練習試合にいく感じというか、ファンの人の声援があるかないかでだいぶ違う」。大観衆の中でアドレナリンが出るタイプで、自然と気持ちが入る。この日も第1打席で歓声と拍手がわき起こった。約1年ぶりにファンの前で躍動し、「ファウルでも盛り上がってくれたり、そういう雰囲気はやっぱりお客さんがいないと、ないと思う。野球をやっているなと」。

環境を力に変えられるのは技術があってこそでもある。今季は軸足の左足に体重を乗せることを強く意識。この日の第1打席、右前打を放つ前の2球、低めに外れるスライダーを見極めた。「打てそうと思いつつ、ボールなので打たないという判断ができている打席。そういう見え方が出来ていると、やっぱりいい結果が出る」。下半身と上半身の動きにも「今のところ練習の段階では去年よりも、しっかりと連動している」と手応えを感じている。

2日前、投手としてのライブBP(実戦想定の練習)では100マイル(約161キロ)をマーク。投打でより一層、期待感が高まってきた。「準備(が必要なこと)はもちろんですけど、やっぱり楽しいのがまず1つと思います」と充実感をにじませた。再び二刀流で挑戦する今季。「いいペースで来ている。そのまま右肩上がりでいければ」と声が弾んだ。ファンの前で-。二刀流の復活を見せる。