【ピオリア(米アリゾナ州)7日(日本時間8日)】パドレスのダルビッシュ有投手(34)が、今シーズンの開幕投手を務めることが確実となった。ロイヤルズとのオープン戦に初登板し、2回1安打無失点。最速96マイル(約155キロ)を含む7種類の球をちりばめ、4奪三振と順調な仕上がりを披露した。中4日で調整を進め、4月1日(日本時間同2日)の本拠地ダイヤモンドバックス戦で、レンジャーズ時代の17年以来、自身2度目の大役を任されることになりそうだ。

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最高気温約30度の汗ばむ陽気の中でも、ダルビッシュは涼しい顔で予定の28球を投げ切った。初回。18、19年に連続最多安打のメリフィールドをパワーカーブで空振り三振に仕留めると、19年本塁打王の4番ソソラーはスプリットで見逃し三振。タイトルホルダーを子供扱いするかのように打ち取ると、本拠地のファンから歓声と指笛で出迎えられた。

「周りのことに気を使うことなく、自分のペースで投げられました。まだ1試合目なので、今日はとにかく試合で投げられてホッとしています」

投げたのは、速球を含めて7種類。11種類とも12種類とも言われる持ち球からすれば一部にすぎない。ただ、すべての球種をカウント球にも勝負球にも使える投手はまずいない。「自分の場合、ファーストピッチ(初球)ストライクを考えないことが一番大事。ただ好きなように初球から投げているだけです」と配球も固定観念を持っていない。

昨年末にトレード移籍した新天地でも、調整ペースに乱れはない。登板間には、スパイクを履かず、キャッチボールもしない日も設けた。「昔は毎日強くなろうと頑張っていたけど、今はだいぶ筋肉とかもついたので、今は抜きながらできるようになってきたかなと思います」と心技体の充実度を漂わせる。

今後、中4日で登板すれば最終的な照準は4月1日の開幕戦にピタリと合う。ロスチャイルド投手コーチは、ヤンキース時代から開幕ローテに合わせて厳格にオープン戦の予定を組む特徴がある。開幕ダルビッシュ、2戦目スネルはほぼ確定。「今までのキャリアの中で、一番いいのかなと思います」。メジャー10年目。ダルビッシュが万全のスタートを切った。

◆ダルビッシュ有(ゆう)1986年(昭61)8月16日、大阪府羽曳野市生まれ。東北高では4季連続で甲子園に出場し2年夏準優勝、3年春の熊本工戦でノーヒットノーラン達成。04年ドラフト1巡目で日本ハム入団。06年日本一。08年北京オリンピック(五輪)代表。09年WBCで世界一。11年オフにポスティングシステムでレンジャーズ移籍。15年開幕前に右肘手術を受けた。17年7月にドジャース移籍。18年にカブス移籍。昨季は日本人初の最多勝に輝き、12月にトレードでパドレス移籍。米オールスター4度選出。196センチ、100キロ。右投げ右打ち。既婚。