パドレスのダルビッシュ有投手(34)が、6回1/3を4安打1失点4四死球、毎回の12奪三振と好投し、今季3勝目(1敗)を挙げた。ダルビッシュの2桁奪三振は通算44回目。それでも、試合後は「今日はたまたま三振が取れましたけど、課題はまだまだたくさんあるし、一歩一歩進んでいくだけでです」と、謙虚に振り返った。

その一方で、マウンド上での集中力は、メジャー最高レベルの実力者ならではだった。1回2死から3番ポージーに先制ソロを浴びながらも、ダルビッシュの頭脳はさえていた。1回途中から5回1死までは11打者連続凡退。6回無死二塁のピンチでは、3番以下を3者連続三振。拳を握りしめ、腹の底からほえた。感情を出すことについて、チームの士気を高めるうえでも「どんどん出していこうと思っています」と、リーダーとしての意識をのぞかせた。

同地区で首位を走るジャイアンツとは、6日以来、今季2回目の対戦。この日は、時速145キロ前後のスプリットと115キロ前後の縦割れのカーブを効果的に交え、翻弄(ほんろう)した。最速は4回表、左打者の4番ベルトを見逃し三振に仕留めた内角への97マイル(約156キロ)のツーシーム。「あれは思い切り投げているだけ」と笑うものの、11種類とも言われる多彩の球種を持ちつつ、要所では自らサインを出してアウトを重ねた。12奪三振の最終球は、スライダー3、ツーシーム3、スプリット2、ナックルカーブ2、カットボール1、フォーシーム1の6球種。いつも以上に、球種選択の秀逸さが際立った。

開幕投手を任された新天地で、4月は3勝1敗でスタート。今季最多の107球を投げても「スタミナ、体力的にも問題なかったです」とサラリ。「一応、勝ちは付きましたし、結果としては悪くないと思いますけど、やらなきゃいけないことがたくさんあると思います」。メジャー10年目で、なお進化を遂げるダルビッシュに、依然として底は見えてこない。