【アナハイム(米カリフォルニア州)6日(日本時間7日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(26)が、両リーグトップに並ぶ10号2ランを放った。レイズ戦に「2番DH」で出場し、4打数2安打2打点。5月中の2ケタ本塁打到達は日本人メジャー初だが、チームは逆転負けで5連敗を喫した。この日、メジャー21年目のレジェンド、アルバート・プホルス内野手(41)がメジャー40人枠から外れ、球界に衝撃が走った。大谷の節目のアーチは、1年目から慕っていた同選手へ向けて、惜別の1発ともなった。

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豪快な10号2ランを放った大谷の顔には、気迫があふれていた。3回2死二塁。左腕フレミングの初球シンカーを捉えた。打った瞬間に本塁打と分かる完璧な当たり。約130メートルの1発を右中間スタンドへたたき込み、ダイヤモンドをゆっくり回った。自身の登板翌日で、尊敬するプホルスの衝撃的ニュースが発表された日の特大弾。祝福する三塁コーチの手を力強くたたき、感情を表現した。

3年前の18年。海を渡り、二刀流としてメジャーの舞台に挑んだ。打者の第1歩はプホルスとの合同自主トレだった。2月1日の渡米後、キャンプイン前にアナハイム近郊で練習を共にした。当時、大谷は「すごく光栄なことだなと思いますし、目指すべきところ」と目を輝かせた。大打者の背中を追い続け、3000安打達成はネクスト・バッタースボックスで見届けた。「一生自慢できるようなことだった」とうれしさを隠さなかった。

練習への姿勢を、互いにリスペクトしていた。数々の偉業を刻むプホルスに、大谷は「数字も素晴らしいですし、その中でも微妙に変えながら、僕が見ている中でもいろいろと試しながら。あれだけやってきても、よりいいものを探す姿勢は素晴らしい」と言った。プホルスは「打撃ケージの中で本当によくバットを振っているし、練習熱心。脱帽するよ」と敬意を表していた。ともに異国からメジャーに挑戦。新人として、ベテランとして、お互いが刺激を与え合っていた。

試合前の打撃練習ではバットを交換し、意見を交わすこともあった。打席で気持ちを整理する方法など、メンタル面でのアドバイスも受け、「打者大谷」の成長を見守ってくれた。チームのムードを盛り上げ、結果だけでなく、精神的な大黒柱でもあった大打者プホルス。勝利にはつながらなかったが、DHの座を受け継ぐ大谷が放ったメジャートップタイの10号は、感謝を込めた1発となった。

▼大谷が2年ぶり3度目のシーズン2桁本塁打。出場30試合目(登板試合数を含む)、116打席目での10号到達は、大谷自身が19年にマークした44試合目、180打席目を更新する日本選手最速となった。チーム30試合目、日付の5月6日も04年松井秀喜(ヤンキース)のチーム53試合目、6月4日を更新する日本選手最速。現時点のシーズンペースは54本になる。登板翌日の本塁打は4月21日レンジャーズ戦に次いで日米通算2度目。