レッドソックス沢村拓一投手(33)が、1回1/3を無安打無失点、1四球2奪三振の好リリーフで今季2勝目(0敗)を挙げた。

◆記者の目 沢村がこの試合で奪った2三振は、いずれも約94マイル(約151キロ)の高速スプリット。野茂、佐々木、上原、または大谷のように落差が大きいフォークではなく、わずかに沈む球に相手打者のバットが空を切るようになった。

確かにスプリットの威力は絶大だが、その裏に良質の速球があることは見逃せない。ビザ取得の関係で、春季キャンプ合流が遅れた沢村にとって、滑るメジャー球、硬いマウンドへの対応にはある程度の時間が必要だった。日本では、幼い頃から速球を外角低めに投げることが基本とされる。だが、アッパースイングが主流の近年の米国では、高めの速球が効果的といわれている。少年時代から高めに投げる習慣がなく、意図的な練習をしたことが少ない日本人投手が、ストライクゾーンぎりぎりの高めを要求された際、制球を乱すのも、ある意味で当然のことだった。

メジャー1年目の沢村も例外ではなかった。開幕直後は高めへ投げると抜け気味になり、意識し過ぎると、ワンバウンドするくらい引っかけることも少なくなかった。だが、登板を重ねるたびに制球は安定。高めの速球が吹き上がるかのように伸び始めた。

この日の直球の最速は97・1マイル(約156・2キロ)でスプリットとの球速差は、わずか5キロ。打者にすれば、区別がつくはずもない。4日のヤンキース戦で奪った5三振は、空振りの3Kがスプリットで、見逃しの2Kが直球。真っすぐだと感じたスプリットを振り、スプリットだと感じた真っすぐを見逃してしまう。沢村の投球パターンが、着実に確立されてきた。【MLB担当 四竈衛】