パドレスのダルビッシュ有投手(34)が21日(日本時間22日)、ドジャース戦で6回2安打1失点11奪三振と快投し、今季7勝目(2敗)を挙げた。この日の11奪三振でメジャー通算1500奪三振を達成。通算197試合目での到達はランディ・ジョンソンの206試合、1216回1/3はスティーブン・ストラスバーグ(ナショナルズ)の1272回1/3を上回る史上最速での記録達成となった。

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節目の記録へ近づくスピードも、異例のペースだった。1回1死から7者連続三振。ダルビッシュは、カットボール、スライダー、フォーシーム、ナックルカーブと、手品師のように最終球を操り、三振の山を築いた。「(記録が)近いことは分かっていましたが、今までの歴史でも1番速かったということですごく誇りに思います」。

メジャー2年目の13年、リーグ最多の277奪三振を記録するなど、並み居る屈強な打者から三振の山を築き上げてきた。だが、ダルビッシュ自身「野球は三振数を争う競技ではない」と言う通り、こだわりはない。その一方で、アウトを取るための研究心と労力は惜しまない。小学校卒業の直前、初めて投げたカーブを「しょんべんカーブと言われて」(ダルビッシュ)以来、変化球への探求心が芽生えた。

メジャー移籍直後は、主にスライダーと速いカーブで仕留めるパターンが多かった。だがその後は、参考になると思えば、どんなことでも試してきた。キンブレル(カブス)からナックルカーブ、野茂英雄氏からはフォークの助言を受けた。今春はSNS上で見つけた有原航平(レンジャーズ)のチェンジアップを試投するなど、好奇心にも似た感覚で11種類とも言われる変化球に磨きをかけてきた。その一方で、この日は最速98マイル(約158キロ)をマーク。「今はフォーシームもそうですし、全部の球種で三振を取れるようになったので、(米国に)来た時よりはいい投手になれたかなと思います」。力で抑え込んでいたスタイルから頭を使った投球へ移行しながら、1500の数字を積み上げてきた。

MLBの規定で、この日から不正粘着物質のチェックが始まった、ダルビッシュも1回と4回終了時に、審判団から呼ばれ、グラブや帽子などを検査された。しかしそんな雑音も無関係に、古巣ド軍を圧倒した。宿敵相手の3連戦初戦に快勝。「もう今年(8月16日で)35歳。チームを今までより見るようになったし、人間的に成長できているのかなと思います」。心技体で充実したダルビッシュが、ますます円熟味を増してきた。

<1500K到達試合数の歴代2~5位投手の寸評>

(2)ランディ・ジョンソン

208センチの長身で愛称ビッグユニット。歴代2位、左腕最多の4875K

(3)ゲリット・コール

11年ドラフト全体1位で現役を代表する剛腕。今季年俸約40億円

(4)スティーブン・ストラスバーグ

アマで唯一、08年北京五輪の米国代表入り。19年はナ軍初の世界一に貢献

(5)ロジャー・クレメンス

愛称ロケット。サイ・ヤング賞は歴代最多7回受賞。史上3位の4672K