【アナハイム(米カリフォルニア州)2日(日本時間3日)=斎藤庸裕】初の月間MVPに輝いたエンゼルス大谷翔平投手(26)が、打って走って今季2度目のサヨナラ勝ちに貢献した。オリオールズ戦に「2番DH」で出場し、2打席連発を含む4打数2安打3打点3得点。球宴前の本塁打数は球団新となり、折り返しの前半81試合で30発に到達。1927年に自己最多のシーズン60発を放ったベーブ・ルース超えも見えてきた。9回にはシーズン自己最多タイの12個目盗塁と好走塁で、サヨナラのホームを踏んだ。

大谷は夜空を見ながら、心地よい大歓声を浴びた。同点の9回2死一塁、今季12個目の盗塁を成功させ、チャンスメーク。4番ウォルシュの右前打で、夢中で走った。相手の前進守備にも「回すしかないのは分かっていた。打球も強かったので、どうかなという気持ちはありましたけど、迷いはなかった」。三塁を蹴り、ホームへ全速力のスライディングで間一髪セーフ。サヨナラの瞬間、勢い余ってあおむけになった。グラウンドに寝ころび、そのまま両手を突き上げた。

興奮状態は続いた。試合後のヒーローインタビュー。「前回は僕が打たれて、みんなが取り返してくれて。今日はなんとか自分が取り返したいという気持ちでいきました」と息を切らして言った。2日前の6月30日ヤンキース戦、2/3回でまさかの7失点。投打で出場しながら1回途中で交代したが、チームは9回に7得点で大逆転。迷惑をかけた分、挽回する-。強い気持ちを持って臨んだ試合だった。

その集中力が結果に表れた。4点を追う3回の第2打席、29号ソロで反撃ののろしを上げ、4回1死一塁の第3打席では一時逆転となる30号2ラン。今季2度目の2打席連発で、日本人野手2人目の30本の大台に到達した。「1つ節目の数字ではあると思うので打てて良かったですけど、トータルで試合を見たときはやっぱり、最後の盗塁と二塁からの走塁の方が価値がある」。劇的なサヨナラ勝ちにつなげた全力疾走。2発に勝る充実感があった。

打席に入れば、今やスタンドからMVPコールが鳴り響く。「素直にうれしい感じで、打ってやろうという気持ちで打席に入れるのですごくありがたい」。5戦6発の量産モードで2位ゲレロ(ブルージェイズ)に3差と、本塁打数ではキング独走状態。「積み重ねてそうなれば一番いいと思いますし、高い目標にはしてるので。ホームラン王争いになってくれば、40本、50本打たないといけない」と話したが、まだ前半81試合の中間地点で30発。04年ヤンキース松井のゴジラ超えどころか、シーズン60発以上のルース超えすら見えてきた。今の大谷なら、決して不可能ではない。

◆ルース超え 10試合以上に登板したシーズンで30号到達は、1919年ベーブ・ルースの29本を上回り史上最多。当時は154試合制だが、この年のみ140試合で行われ、当時のシーズンメジャー記録で2年連続本塁打王を獲得。ルースが本格的な二刀流でプレーしたのはレッドソックスに所属した19年までで、ヤンキースに移籍した20年以降はほぼ打者に専念し、27年に自己最多60号を記録。

◆ア史上初 全日程のちょうど半分となる開幕81試合で「30本塁打&10盗塁」達成はア・リーグ史上初。ナ・リーグでも98年サミー・ソーサ(カブス)09年アルバート・プホルス(カージナルス)の2人のみ。

◆球団初 球宴までの前半戦で30号到達は球団史上初。これまでの最多は19年トラウトの28本。ア・リーグでは17年ジャッジ(ヤンキース)以来。