エンゼルス大谷翔平投手(27)の二刀流は2021年を歴史的なシーズンにした。だが、完璧ではなかった。本塁打王間違いなしに思えた前半戦から、思うようにならない後半戦。なぜ大谷は失速したのか? を深掘り。多角的に検証した。失速した部分は、来季に向けて伸びしろになる。

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データでは意外な結果が表れていた。四球数は8月が21個、9月以降が27個と増加。敬遠数は8月が5個、9月以降が9個で、あからさまに勝負を避ける場面が多くなった。だが、ストライクゾーンや枠外の割合を比較すると、さほど変わりはなかった。

9月以降、枠外への配球は全体の59%で、各月の割合では最も多い。9分割のストライクゾーン真ん中の割合は5・6%で最も少ない。一方で、月間13本塁打、打率3割9厘で絶好調だった6月のゾーン枠外への配球割合は58・4%で、真ん中は6・3%。確かに数字としては9月以降の方が厳しい攻めと捉えられるが、割合としてはわずかな変化だ。球数でみれば、ど真ん中のボールは9月と6月は26球で同じだった。

大谷の打撃の基本は好球必打。常々「ストライクを振って、ボールを見逃す。一番は自分が打てるストライクを振っていく」と話している。だがそれは、「一番基本的なところで難しいところ」とも言う。

本塁打数は8月、9月でペースダウンした。右方向へ引っ張る打球で凡打も増えた。大谷は「甘い球が何球も来るわけではないので、来た球をしっかり打つための準備をしたい」と話していた。四球と敬遠の増加で、勝負を避けられるというイメージも頭にあったのかもしれない。結果が出にくくなった要因は、好球必打の打撃にズレが生じていたと考えられる。