【オークランド(米カリフォルニア州)14日(日本時間15日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(27)が、強烈な一撃でメモリアルアーチを飾った。「3番DH」で出場したアスレチックスとのダブルヘッダー第2試合、3打席目で中堅左へ弾丸ライナーで運んだ。第1試合からフル出場し、この日8打席目で飛び出したダメ押しの7号2ラン。5年目、通算459試合目で、打者出場に限れば444試合目。日本人では3人目、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜の636試合を抜き、日本人最速でメジャー通算100号に到達した。

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記念の1発を、大谷は強烈な弾道でかっ飛ばした。5回無死二塁、右腕オラーの初球ツーシームを完璧に捉えた。ボールを打ち砕くような破壊音を残し、角度22度のライナーで中堅左へ。二塁走者トラウトが止まって打球を見上げたほどの豪快な一撃は、あっという間にスタンドに届いた。日本人最速で到達した節目に、大谷は「大きい数字だと思うので、励みにしたい。もっともっと打てるように頑張りたいと思います」とすがすがしい表情だった。

二刀流の挑戦が始まった地で、メモリアル弾を飾った。18年3月29日、敵地オークランドでの初打席で初安打。あの時と同じように、この日も初球を捉えた。「真ん中付近に来てしっかり逃さず打てたので、良かったと思います」。好球必打でセンターへ。基本に忠実な打撃スタイルは4年たっても変わらない。開幕から本調子ではなかったが、「コーチとも話しながらいろいろ修正できるところ、今日も話しましたし、徐々に良くなっている」。確実に理想の形に近づいてきた。

そのモデルとして、大先輩の背中を追い続けた。ヤンキースで活躍する姿を目に焼き付け、野球少年の頃から憧れの存在だった松井秀喜氏。「僕より率(打率)も高いですし、総合的に高いバッターかなと思います」と振り返った上で、続けた。「目標にずっとしてきましたし、そういう選手像の中でなおかつ、ホームランを打てるというのが自分の中では理想。率も残るし、四球もしっかり取るし、なおかつ長打を打てるというのが一番いい選手かなと思います」。日本を代表する希代の強打者と重ね、目指す世界NO・1プレーヤーのイメージを描いた。

同僚に知らんぷりされる「サイレント・トリートメント」のイタズラで祝福され、8番打者で初々しさもあったメジャー1号。どっしりした風格を漂わせながら完璧に打ち砕いた100号。二刀流でマウンドにも立ちながら、積み上げた日本人最速の100本に価値がある。今季1発が出た試合は5戦全勝。「手術とかありましたけど、ここまで来られて良かったですし、もっともっと健康で、フルで出られるように体調管理しながら、いい数字を求めて頑張りたい」。記念を勝利で飾っても、あくなき向上心はいつもと変わらなかった。

 

▽エ軍ロレンゼン投手「みんな(100号到達の)早さについて話してたけど、僕は驚かないね。スーパースターだし、彼が打ててスーパーハッピーだよ」

◆ルースの100号 データサイト「ベースボール・リファレンス」によると、通算714本塁打を放ったベーブ・ルース(ヤンキース)の100号は1920年9月24日。通算529試合目、1923打席目だった。

◆日本人最速ペース 日本人大リーガーの通算100本塁打は松井秀喜175本、イチロー117本に次ぐ3人目。100号到達時の年数は松井秀喜の5年目と同じだが、試合数で177試合、打席数で953打席上回る最速となった。なお、100本塁打は大リーグ公式サイトによると通算959人目。日本のプロ野球では304人が記録している。

◆大谷の1号 大リーグ移籍後初アーチは18年4月3日インディアンス戦。8番指名打者で出場し、1回2死二、三塁からエンゼルスタジアムの右中間に3ランを放った。本拠地初打席での1発。ベンチでは出迎えなく無視される儀式「サイレント・トリートメント」を受けた。