【アナハイム(米カリフォルニア州)21日(日本時間22日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(27)が、トップバッター返り咲きでチームの連敗脱出に貢献した。アスレチックス戦に4月24日以来となる「1番DH」で出場し、4打数2安打。前日の守備中に首付近を痛めたウォードに代わって務めたリードオフマンで、5試合ぶりのマルチ安打をマークした。試合観戦に訪れた名俳優ライアン・オニール氏(81)からは「ブリリアント(光り輝き、華やか)だ」と称賛され、期待に応えて勝利を届けた。

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大谷が華麗に、欲しかった追加点の突破口を開いた。1点リードの6回無死、先頭で左腕コラレクの内角球を流し打ち、左前に技ありのクリーンヒット。1点差で緊迫した試合展開の中、流れがエ軍に傾き始めた。1死満塁とし、押し出しで大谷が2点目の生還。さらに内野安打の間に2番トラウトも三塁からかえり、通算1000得点を達成。チームは一気に盛り上がった。

代役とはいえ、返り咲いた1番打者で大谷がきっちり仕事を果たした。今季は開幕から1番を任され、2番の主砲トラウトにつなげる役割を求められたが、状態が上がらず。4月24日までの出塁率は3割1厘に沈んだ。マドン監督が1番打者で理想とする出塁率3割7分にはほど遠く、期待に応えられなかった。そして、約1カ月ぶりに再び任されたリードオフマン。「まだ去年のような域にはたどり着いていないが、そのうち良くなる」(マドン監督)と、打撃状態はまだ波があるが、5試合ぶりにマルチ安打をマークした。

3番打者だった前日の同戦では、1回2死から四球で出塁。二盗を成功させ、右前打で同点のホームを踏んだ。小技を絡めて1点を取りに行く野球はマドン監督の理想とする攻撃の形。継続するには「まず出塁すること。それが全て」と指揮官は話していた。その期待通り、この日は4打席で2度出塁。4連敗中だったチームに流れを引き寄せ、連敗ストップに貢献した。

試合前には、大谷の大ファンでもあるライアン・オニール氏が球場を訪れ、これまでの活躍を称賛。70年代に名をはせた米国の名俳優は「ブリリアント(光り輝き、華やか)だ」と2度、繰り返した。華々しく本塁打とはいかなかったが、トップバッターで2安打。チーム打撃に徹するプレーぶりが光った。

○…ライアン・オニール氏が試合前に球場を訪れ、マドン監督やトラウトと記念撮影を行った。エンゼルス戦の中継で実況を担当するパトリック・オニール氏の父で、米国では著名な俳優。70年に大ヒットした恋愛映画「ある愛の詩」で主演し、アカデミー賞の主演男優賞にもノミネートされた。大谷の大ファンで、試合前に念願の対面はかなわなかったが、「全ての能力に優れている。彼がやっていることを見ることができて、これほどうれしいことはないよ」と語った。