【オークランド(米カリフォルニア州)1日(日本時間2日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(28)が、高校時代にしのぎを削ったライバルから、今季初打点をマークした。

アスレチックス戦に「3番DH」で出場し、先発の藤浪晋太郎投手(28)と13年5月以来、10年ぶりとなる直接対決。第1打席は凡退したが3回無死満塁の第2打席で、左越えの適時打を放った。この回11得点で藤浪KOにつなげ、5打数2安打2打点でチームの今季初勝利に貢献した。

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11年越しに大谷が見せたのは、対応力の高さだった。2点先制してなお無死満塁。藤浪の2球目、99・1マイル(約159キロ)を鋭くさばいた。「抜けて欲しいなと。満塁だったので。それが一番」。外角高めの速球にコンタクトしたような打球でも、芯に当たれば飛距離が出る。持ち味でもある逆方向への強い打球で左翼フェンス直撃の適時打とし、両手を掲げて笑顔でガッツポーズした。

際立ったのは修正能力の高さ。それを、わずか5球の対戦で示した。第1打席、初球スライダーからスプリットを2球続けられて一ゴロ。当然、第2打席では変化球や高速スプリットが頭にあったはずで、初球の直球はタイミングがやや遅れた空振りとなった。2球目、藤浪としては「ファウルを取れれば」と明確な意図を持って投げ込んだボールに、大谷は即座に対応した。同学年で高校時代からのライバルだが、メジャー5年間で培った経験は先を行く。パワー、技術、対応力を結集した一打で、藤浪KOにつなげた。

直接対決は10年ぶり。メジャーでは初見なだけに、「最初の打席も比較的浅いカウントで打ち取られているので、ちょっとコメントするにはサンプルが少ないかなと思うんですけど」と控えめに振り返った。その上で「立ち上がり、素晴らしかったと思いますし、(チームとして)三振も取られていたので」と率直な印象を語った。2回までは歯が立たないほどに沈黙。それでも慌てず、勝機を探り、一気にたたみかけた。

藤浪から放った適時打で今季初打点をマークし、3回に打者一巡、14人の猛攻で7安打11得点。「いいオフェンスのタイミングでビッグイニングを作れたのは、ウチにとっては良かったと思います」と、チームの今季初勝利に胸をなで下ろした。本塁打はなかったが、同学年対決の第1ラウンドを制し、開幕から2試合連続安打。堂々とした姿で、6年目の風格を示した。

▽エンゼルス・ウォード(3回に適時打を放ったが、第1打席で空振り三振。藤浪のスプリットについて)「非常に良かった。消えたようだった。三振後の僕のリアクションを見れば分かるだろうけど、『ワォ』という感じ。本当に良かったし、驚いた。脱帽だよ」