【アナハイム(米カリフォルニア州)27日(日本時間28日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(28)が「3番DH兼投手」で出場し、勝敗はつかなかった。3回以外は毎回走者を背負いながら、粘りの投球で6回6安打2失点(自責点1)。10三振を奪い、今季90奪三振としてア・リーグトップに立った。勝ち投手の権利を得たが救援陣が逆転され、今季6勝目は消えた。打者大谷は4打数無安打で、チームは延長戦に敗れて2連敗。セットアッパーの左腕マット・ムーア投手(33)が右脇腹を痛めて離脱することとなった。

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気合の声を上げても、豪快なガッツポーズはない。大谷に辛抱が続いた。6回6安打2失点で自責点は1。109球で10奪三振と、結果だけ見れば力投だったが、試合後は「良くもなく悪くもなく。最低限6回まで投げられたので良かったと思いますけど、きっちりと点を取られたところはもう少し、いい投球ができた」と淡々と振り返った。

1回から苦しんだ。自らの一塁悪送球もあって招いた2死三塁から四球を与え、対戦成績で打率3割と大谷を得意としていた元DeNAのグリエルに抜けたスプリットを痛打された。2点目を与えた5回も2死三塁から四球。直後、今季メジャートップの打率3割7分1厘を誇る3番アラエスに決め球スプリットを捉えられた。一方で、今季4度目の2桁三振をマーク。奪三振数でリーグトップとなったが「そういうピッチャーなので、その分、今日に関しては四球3つ出てますし」と課題を挙げた。

この日は打者でも唇をかんだ。4-4の9回、無死から2番トラウトが安打で出塁。続く大谷への期待は膨らみ、スタジアムが沸いた。結果は三直。「勝ちきるなら、あの回だったかなと。打って最低限、進塁した形で決めるしかなかった」。2試合連続の無安打。それでも「(ボールの)見え方自体はそんなに悪くない。あとはきっちり甘い球をしっかり打てるかどうか」と前向きに捉えた。

試合後には、セットアッパーに定着した左腕ムーアの離脱が発覚。7回に2番手のシルセスが逆転されたように、守護神エステベスまでつなぐ中継ぎ陣に不安が出てきた。この日は延長10回に4失点し、競り負けた。大谷は「個人的にはやることをやるしかない。自分に出来ることをしっかり、まずやっていくのが一番、勝つ確率が上がる作業かなと思います」と言った。主力に故障者が出て、春先の好調からズルズルと失速しがちな例年のエンゼルス。踏ん張りどころとなる。