【ヒューストン(米テキサス州)2日(日本時間3日)=斎藤庸裕】二刀流が、王者に完敗した。「1番DH兼投手」で昨季世界一のアストロズ戦に出場したエンゼルス大谷翔平投手(28)が、投手では2被弾を含む6回9安打5失点で今季2敗目を喫した。5月9日以来の再戦で、先発としては通算5度目の投げ合いとなった左腕バルデスとは0勝4敗。打者では5打席で1四球、4打数無安打に終わり、同地区ライバルとの4連戦で痛い2連敗を喫した。

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世界王者の戦いぶりをまざまざと見せつけられた。大谷が2ストライクと追い込んでも、アストロズ打線は簡単に空振りしない。メジャーでは自己ワーストに並ぶ2年ぶり2度目の9被安打。軽打でヒットゾーンに運ばれることもあれば、強振で長打も浴びた。「決めきれないところ、球種の選択も含めて、そこで三振取れれば流れを作れますし、もったいないなと」。ア軍のメンバー各自が戦略を立て、徹底的に狙いを定めて攻撃してくるクレバーな野球を実感した。

46スイングのうち空振りはわずか7球で、空振り率は今季ワーストの15%。2ストライクを取っても、三振が取れなかった。1回1死一塁、主砲アルバレスには2-2からのスイーパーを完璧に捉えられた。「形的には悪くなかった。ただ、相手が狙っているところで抜けたりとか、最後のホームランもそうでしたけど、抜けがちょっと多かった」。6回2死一塁、トドメの1発となった8番ジュルクスへのカットボールも、内角へ抜けた失投を強振された。

昨年は宿敵ア軍を圧倒した。5戦で3勝1敗、防御率1・21と昨季ワールドシリーズを制覇した打線を封じた。だが、今季は2戦2敗。上を行けば、そのまた上を行かれる。「徹底はしてくるチームかなと思う。バラバラに攻撃するのではなくて、少ないチャンスを全員が目的を持って狙ってきている」。対策を練られ、完全に攻略された。

この日は打者でもエース左腕バルデスに抑えられ、先発対決では5戦4敗未勝利。投打で完敗した。「相性うんぬんというよりは、いいピッチャーなので。全員が打ててないですし、リーグ全体通して見ても。いいピッチャーだと思う」。もちろん悔しさもあるはずだが、試合後の表情はどこか澄んでいた。世界一の選手への道のりは、まだ山がある。その挑戦に、ゾクゾクしているようだった。