【グレンデール(米アリゾナ州)27日(日本時間28日)=斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手(29)が、外野手用グラブとファーストミットを新調した。「2番DH」で実戦復帰したホワイトソックス戦の試合前、クラブハウスで2つのニューグラブの感触を確かめた。契約する米スポーツ用品メーカーのニューバランス社のもので、ともに17番の背番号が刻まれている。ロバーツ監督は、シーズン中に外野起用する可能性は低いとしているものの、大谷の準備力をたたえた。

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大谷は午前8時半すぎにキャンプ施設に姿を現すと、クラブハウスでおもむろに段ボール箱を開封した。最初に取り出したのは、外野手用グラブ。眠そうな様子だったが、新グラブを手に感触を確かめ、捕球体勢の構えも見せた。さらに、2つめはファーストミット。背番号17が入ったニューバランス社製の新調グラブを並べて、棚に置いた。

打者に専念する今季、外野と一塁を守る可能性があるのか-。大谷は復帰戦を終えた後、意図について「そういうこともあるかもね、という。みんなに言えることですけど、そうなってからでは遅いので。事前の準備が、どういう時も大事」と明かした。

伏線は昨年12月中旬。ロバーツ監督は、米メディアの電話インタビューで「9月にボールを投げられるようになっていたら、左翼から投げてもらえるか、という話も少しした。腕に問題がなければ彼は『大丈夫』と言っていた。その時までまだまだ時間があるし、様子を見ながら」と話したことがあった。

前例もある。昨年、右肘のトミー・ジョン手術からわずか160日(5カ月と約1週間)で復帰したフィリーズのハーパーは、後半戦から徐々に一塁の守備につき、シーズン終盤では正一塁手として活躍。もちろん、投手としてリハビリを続けていく大谷は、そう簡単にはいかない。ロバーツ監督も「最優先はDH」としながら、「彼の考えが、いい状態を整えるため、またそれがドジャースの手助けになるのなら、それは賛成だ」と意見を述べた。

起用があるとすれば緊急事態、かつ大谷のスローイングにゴーサインが出た場合のみとなるだろう。「もちろん投げなければそういうこと(守備すること)もないですし、そこは優先事項から外れているので、トレーニングメニューの一環でランニングしたいなぁという時に入るかもしれないですけど、そこまでやることはないと思います」と大谷は話したが、備えあれば憂いなし。DH、外野、一塁。三刀流への準備力と用意周到さに、ロバーツ監督は「どうなるか分からないが、可能性を考えてそうする姿勢は、チームに好影響を与える」と称賛した。

◆大谷の外野守備 大リーグ移籍後は4年目の21年に7試合ある(右翼6、左翼1)。いずれもスタメンではなく、指名打者や投手でのスタメン出場後、または代打からの守備だった。メジャー初守備となった4月24日アストロズ戦では指名打者で本塁打を放ってから志願して左翼へ回り、「スリーウエー・プレーヤー(三刀流)」として米メディアを沸かせた。日本ハム時代は外野手として62試合に出場し、内訳は1年目の13年に54試合(スタメン49試合)、14年に8試合(すべてスタメン)。