【ピオリア(米アリゾナ州)11日(日本時間12日)=四竈衛】いきなり「ダルVS大谷」が実現へ-。米大リーグ機構が韓国ソウルで開催される開幕シリーズ2連戦の先発投手を発表し、パドレスのダルビッシュ有投手(37)が、2年ぶり4度目の開幕投手に決まった。ドジャース大谷翔平投手(29)にとっては「ド軍デビュー戦」。ダルビッシュはこの日、マリナーズとのオープン戦で4回1失点と上々の内容で開幕までの実戦登板を終えた。

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日米通算20年目のシーズンへ向けて、不安なく最終調整を終えたダルビッシュは、サラリとした言葉にライバル心をのぞかせた。3月20日、韓国での開幕戦は、1回表にいきなり大谷との初対決が実現しそうだ。「ドジャース全体と対戦するのが先。もちろん楽しみにしていますけど、これからしっかり、ベッツであったり、他の選手も含めて。大谷君もそうですけど、勉強して試合に臨みたいです」。注目されることは分かっていても、大谷だけを抑えても勝てるわけではない。ド軍の底力を知るだけに、開幕までに徹底分析し準備を整える。

シルト監督からは4日前に大役を告げられた。その一方で、事前に心の準備はできていた。「あっ、そうですか、という感じで」と笑いつつ、「(新監督の)シルト監督としても特別だと思う。その中で最初に選んでいただいたというのは、本当にうれしかったです」と素直な胸中を明かした。

メジャーで4度目の開幕投手は、田中将大(当時ヤンキース)に並ぶ日本人最多タイも、白星はまだない。チーム最年長のベテランにとって何度任されても「意気」に感じる大役をまっとうし、自身初の開幕勝利を狙う。「第1戦を任されるというのは、特に韓国開催というところで、すごく特別なこと。しっかり感謝しながら調整して投げたいと思います」。昨季終盤に痛めた右肘も完治。この日も最速95マイル(約153キロ)と着実に球速も上がってきた。当初は、オープン戦で計4試合に登板する予定だったが、8日の試合が降雨中止となり、3試合でフィニッシュ。それでも「しっかり調整はできている。すごく充実感はあります」と、すっかり日焼けした頬を緩めた。

宿敵ドジャースの山本は2戦目での登板が決まった。直接対決はお預けとなったものの、ダルビッシュは「開幕戦で投げ合えたら良かったんですけど、シーズンでは絶対投げ合うことになると思うので、その時まで楽しみにしておきたいと思います」と、余裕たっぷりに笑った。ド軍を倒さない限り、パ軍の地区優勝は見えてこない。大谷を封じ、山本に投げ勝つ-。ダルビッシュの今季のテーマが、改めて明確になった。

◆日本人の開幕投手 ダルビッシュは17、21、22年に次いで通算4度目。通算4度は15~17、19年の田中将大(ヤンキース)に並んで日本人最多。今年の開幕時は37歳7カ月で、04年野茂(ドジャース)と22年に自身が記録した35歳7カ月を上回り、最年長での開幕投手になる。ダルビッシュが務めた過去3度はいずれも勝敗なし。日本人では19年田中を最後に出ていない開幕戦勝利を狙う。