【ソウル(韓国)20日=斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手(29)が、歴史的安打を放った。パドレスとの開幕戦で、199日ぶりに打者で復帰。昨春のWBCでともに戦い、憧れの存在だったダルビッシュ有投手(37)と初対戦し、2打席目で右前打を放った。ドジャース移籍後初となるメモリアル安打の直後には二盗を決め、日米通算100盗塁に到達。世界のアスリート史上最高額となる10年総額7億ドル(約1015億円)の男が、開幕戦から存在感を発揮した。

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大谷がダルビッシュから、記念すべき節目の記録を飾った。3回2死の第2打席、内角高め要求から甘く入ったツーシームを捉えた。打球速度112・3マイル(約181キロ)の高速打球が右翼フィールドで弾んだ。移籍後初安打。スイングのフォロースルーかのように華麗に右手を掲げ、マッカロー一塁コーチとヘルメットを合わせる「ヘッド・バンプ」をシーズン初披露。現地韓国のファンで埋まったスタジアムを沸かせた。

メジャー7年目、憧れの投手ダルビッシュとの直接対決がようやく実現した。遊ゴロで凡退した第1打席はフルスイングすらさせてもらえなかったが、第2打席でリベンジ。さらに初安打でざわつく中、大谷は相手の隙を逃さなかった。3番フリーマンの初球でスチール。絶好のスタートを切り、パ軍捕手は慌てて送球したが、大谷は既に二塁に到達するほどの超速で、余裕のセーフとした。

得点にはつながらなかったが、明確な目的意識で取り組みを続けた成果が出た。オフの自主トレから走塁改革に着手。リードの取り方もオープンスタンスに変えた。オープン戦、試合前のウオームアップでは盗塁スタートを繰り返し、必ず、この形で反復練習を行った。韓国入り翌日の16日、全体練習ではほぼ室内で調整。わずか10分足らず、フィールドで行ったのは走塁練習だった。一塁、二塁、三塁からの打球判断。内野の土の感触を確かめるように、意識的に走った。

初の節目は続いた。逆転した8回の第5打席、1死一、二塁から左腕モレホンの内角ツーシームを捉え、左前に運んだ。勢いづくチームを初打点でさらに盛り上げ、自身もノリノリ。一塁ベース上で、不朽の名作から命名されたドラゴンボールZポーズ「ヒップ・ロック」も本番初披露となった。

開幕戦のマルチ安打&打点はメジャーで自身初。4日前の記者会見では「特殊な開幕なので。韓国でやるのも、新しいチームでスタートするのも初めてなので、楽しみの度合いはまた違う」と心境を語っていた。7億ドル(当時レートで約1015億円)の10年契約を交わした新天地での初戦、右肘の手術から打者復帰、そして2月29日に結婚を発表し、家族も見守る中で迎えた特別な開幕戦。ドジャースの一員として、新たな歴史の1ページを刻んだ。

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大谷翔平2番DHスタメン ダルビッシュと初対決 真美子夫人も見守る 韓国で開幕戦/速報中