広島や西武でプレーし、現役クリケット選手の木村昇吾(43)が9日、大谷翔平投手のクリケット打法の効果について語った。17年オフにプロ野球界を引退し、クリケットに転身。現在はスリランカに短期滞在し、プロチームのトライアウトに参加している。通話アプリを使って連絡を取ると現役クリケッターは「僕が大谷くんのことについて話すなんておこがましい」と笑いながらも、両競技を知るアスリートとして説明してくれた。

「引っ張る感覚が強かったのか、こねる感覚があったのか分からないけど『面で打つ』感覚が欲しかったんだと思う。テニスラケットを使ったトレーニングもあるけど、テニスラケットだとバットよりも軽く、打感がまったく違う。でもクリケットのバットは1・3キロから1・4キロと重く、面を返さずに振らないといけない。面で捉えたときは、バットに引っ付くような感覚もあるし、しっかり芯で打たないと飛ばない」

フェアゾーンが90度の野球と違い、クリケットは360度どの方向に打ち返してもいい。打撃も野球は横振りだが、クリケットは縦振りもある。野球界のトップスターが野球の感覚を変えるためにクリケットを取り入れたことに脱帽し「自分もクリケットが普及するように頑張っているけど、大谷くん効果は絶大。クリケット界に“大谷効果”を期待したいね」。異国で奮闘中の男は、異競技交流を歓迎した。【前原淳】

◆木村昇吾(きむら・しょうご)1980年(昭55)4月16日生まれ、大阪市出身。尽誠学園-愛知学院大を経て02年ドラフト11巡目で横浜入団。07年オフにトレードで広島移籍。10年途中からレギュラーに定着し、11年に自己最多の106試合に出場。15年オフにFAで西武に移籍し、17年退団。通算733試合、294安打、3本塁打、71打点、34盗塁、打率2割6分1厘。18年からクリケットに転向し、同年から日本代表にも選出。183センチ、78キロ。右投げ左打ち。