カブス今永昇太投手(30)が13日(日本時間14日)、マリナーズ戦で史上5人目となる偉業でメジャー2勝目を挙げた。6回途中まで5安打1失点(自責0)で、デビューから3試合連続で自責0を継続する。「2番右翼」で出場した鈴木誠也外野手(29)は同点の3回に8試合ぶりとなる勝ち越しの3号ソロ。日本人大リーガー通算800号のメモリアル弾で今永を強力に援護した。

今永の今季3度目の登板は、これまでで一番制球に苦しんだ。相手打線が低めのスプリットに手を出さず、チェンジアップも手応えがいまひとつ。直球に頼らざるを得なかったが、球数がかさむにつれて思うようにいかなくなったという。

「なかなか空振りも取れない、カウントも優位にならないところで、一枚上手に行くのが難しかった」と独特の表現で振り返った。

2回には一塁手ブッシュの失策で走者を出し、2死一、三塁で二塁打されてメジャー初失点で同点に追いつかれた。なお2死二、三塁だったが「質の良い真っすぐを投げ込めばいい」と気持ちを切り替えたという。続く9番打者には4球全て速球を投げ込んで空振り三振に仕留めた。

次の回に鈴木が2死走者なしから8試合ぶりの3号ソロを放ち、再びリードをもらった。今永は6回には先頭にメジャー初四球、次打者にも四球で無死一、二塁のピンチを作ったが、三塁線を抜けそうな強烈な打球を三塁手モレルのダイビングキャッチに助けられアウトを取った。

5回1/3まで90球を投げ5安打1失点(自責点0)、2四球4奪三振で無傷の2勝目。デビューから3試合でいまだ自責点0と最高の結果を出した。ESPNスタッツによると、先発としてデビューから3試合いずれも4回以上を投げ自責点0は、防御率が両リーグで正式記録となった1913年以降でこれが5人目。「しっかり対策されたなと感じるし、本当にたまたま1点におさまったという感覚。あの(鈴木の)1発のおかげで、1点取られてもまだ同点だという気持ちで投げられた」と感謝した。

試合展開に合わせ、精神状態や技術を対応させたマウンドさばき。「もう一つ、勉強できたなと思う」と収穫を感じた様子だった。

▼今永がデビューから15回1/3を自責点0。日本人投手のデビューからの連続イニング無失点は11回でストップし、16年前田(ドジャース=14回)、02年石井(同=11回2/3)に次ぎ、64年村上(ジャイアンツ=11回)に並ぶ3位。デビューからの連続自責点なしは、98年吉井(メッツ=失点1)と前記前田の各14回を上回る日本人最長となった。

▼鈴木が今季3号を放ち、日本人大リーガーの通算本塁打が800本に到達した。1号は投手の野茂(ドジャース)が98年4月28日ブルワーズ戦で記録した。

▼鈴木の勝ち越しアーチは勝利打点。同一チームの日本選手がVアーチ&勝利投手は昨年6月27日、先発投手の大谷(エンゼルス)がホワイトソックス戦で自ら先制アーチを放つなど1人で通算3度記録しているが、投打が異なる選手では14年7月25日ブルージェイズ戦のヤンキース(勝利投手=黒田、Vアーチ=イチロー)以来。