【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)14日(日本時間15日)=斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手(29)が、2試合連続でノーアーチに終わり、日本人最多となるメジャー通算176号は持ち越された。

パドレス戦に「2番DH」で出場し、4打数1安打。強烈なライナー性の安打を放った第4打席では、大谷の記念球に関連するハプニングが発生した。パ軍先発のダルビッシュ有投手(37)との再戦では3打数無安打。2三振を喫し、完敗した。

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大谷は第4打席の初球、甘く入ってきたチェンジアップを確実に捉えた。打球は上がらなかったが、108・6マイル(約175キロ)の高速ライナーでクリーンヒット。ボールは中堅手から左腕ペラルタに返ってきた。通常ならこのまま試合続行。だがタイムがかけられ、返球となった。同投手の困惑顔にパ軍のシルト監督もベンチから出て審判団と何やら協議。その後は、通常通りに試合が進んだ。

日本人の歴史を塗り替えようとしている大谷にまつわるハプニングだった。第4打席に入る直前、ペラルタがマウンドで投球の準備を始めると突如、球審がボールを変更。不満げだったペラルタはやむなく了承したが、大谷に甘く入った初球を捉えられた。シルト監督は試合後、「オオタニのためにボールを記念にとっておきたいのは私は理解した」とコメント。大谷が本塁打を打てば、松井秀喜氏を抜いてメジャーで日本人最多の本塁打数となる。記念球の保管と偽物が出回らないようにする目的もあるのか、大谷の毎打席で、刻印されたボールを使用しているようだ。

先発のダルビッシュも大谷と対戦時のボールについて「見たらなんか数字書いてて、アルファベットと。なんだこれって。ドジャースなんかやってんじゃない変なことって思ったんですけど(笑い)」と冗談交じりに明かした。日本人ならまだしも、今回の記録を日本人以外の相手投手が把握しているとは考えにくい。シルト監督は意図に理解を示しながらも「我々サイドに説明するべきだった」と試合に影響しないよう、公平性を求めた。

大谷は12日のパドレス戦で今季4号ソロを放ち、日本人メジャーの記録に並んだ。その時もボールには「S」と「1」の文字が刻まれていた。今や大谷のホームランボールは希少価値がある上に、次の1発は新たな日本人の歴史に関わる。2試合連続でノーアーチ。日を追うごとに記録更新の期待が膨らんでいる。【斎藤庸裕】