アストロズ松井稼頭央内野手(34)が19日(日本時間20日)、球団から保有権を放棄すると通達された。今季は27試合に出場して打率1割4分1厘、0本塁打、1打点、1盗塁と深刻な不振が続き、事実上の解雇となった。今後はウエーバーに掛けられ、獲得に名乗りを上げる球団がなければ、24日(同25日)に自由契約選手となる。日米含め、他球団への移籍を模索することになりそうだ。

 松井が突然の解雇通告を受けた。この日のロッキーズ戦で出場機会がなく、試合後にウェードGMに呼び出され直接知らされた。

 今季は深刻な不振に陥り、ドジャース黒田と対戦した18日も4打数無安打で、最近7試合、21打席連続無安打が続いていた。同GMは「シーズンのこの時期に選手に解雇を告げるのは、簡単なことじゃない。特にカズのようなプロ意識の強い選手にはね」と話したものの、チームも14勝26敗とリーグ最下位に低迷しており「(決断は)今すべきだと考えた」と明かした。

 今季からミルズ監督が指揮を執り、松井にとっては調子を維持するのが難しい、厳しい起用が最初から続いた。開幕戦で2安打したが翌日には休養を与えられ、開幕3戦目はスタメンに入ったが、4戦目からまた2試合連続で休養。4月下旬ごろから、代打での起用も増えた。コーチに頼らず自分自身で何とかしようと、知人に頼んで打撃練習のフォームをビデオに撮るなどし、懸命に復調に取り組んでいた。解雇通告に「勝負の世界ですから。成績が出せていなかったので仕方がない」と、悔しさをこらえた。地元紙には日本復帰の可能性を聞かれても答えず「ただトレーニングを続け、体をいい状態にしておくだけ」と話したという。

 08年からア軍と3年契約を結んだ松井は1年目は打率2割9分3厘、20盗塁と活躍したが、故障で96試合の出場にとどまった。今季は年俸500万ドル(約4億5000万円)で、この年俸はア軍から保障される。自由契約後は日米問わずすべての球団との交渉が可能。「今日言われたばかりなので何も分からない」と話した松井は、当面はヒューストンにとどまり、代理人と相談していくという。