【オークランド(米カリフォルニア州)14日(日本時間15日)=大塚仁】アスレチックス松井秀喜外野手(36)が新たな野球人生の第1歩を踏み出した。1年契約にサインし、移籍が正式決定。そのまま入団会見に臨み、若いチームを先頭に立って引っ張る意気込みを口にした。年俸は425万ドル(約3億5700万円=1ドル84円換算)とダウンしたが、逆襲への意欲は十分。環境を変えて臨む11年、新しい松井が古豪アスレチックスを変える。

 メジャー移籍後、最低年俸となる425万ドルで1年契約を結んだ松井は、10人前後の米メディア、100人近い日本の報道陣に向けてきっぱりと意気込みを口にした。ヤンキース時代の約3分の1という金額だが、気持ちは前向きだった。「チームに来てほしいという強い気持ちが僕自身の心をぐっと引き寄せた。それが一番大きなことだと思います」と入団した理由を言った。チームの印象を聞かれると「非常に素晴らしい才能を持った若い選手たちがたくさんいるチームですので、十分プレーオフへのチャンスはあると思ってます。そのために僕自身が、先頭を切ってみんなを引っ張っていけるようなプレーをしていきたい」と、いきなりのチームリーダー宣言が飛び出した。チーム最年長、経験も若い新チームでは随一。自ら前面に出ていくことが少なかっただけに、珍しい口ぶりだった。

 年俸の大幅ダウンを受け入れてまでも、ア軍を選んだ。巨人、ヤ軍、エンゼルスと優勝争いの常連チームとは違ったタイプのチーム。今季の年俸総額が全30球団中28位。看板選手は引き留められず、トレードなどで獲得した若手と安いベテランでやりくりしていくのが球団のスタイル。かつてホワイトソックス時代の800万ドルから50万ドルで契約したF・トーマスほどではないが、今季の600万ドルからのダウンをのむしかなかった。

 観客動員数も全30球団中29位と注目度も低い。「もちろんここでプレーしていてお客さんがあまり入っていないのは実感として感じています」としながらも、「でもいい野球をしていいプレーをすればまたたくさんお客さんが来てくれると思っていますから、逆にそういう形をつくれればいいなと思っているだけです」と言い切った。

 強豪チームを支えていく立場だったこれまでのメジャー8年間から、若いこれからのチームを引っ張っていく立場に変わった。低迷するチームの改革の旗手として第1歩を踏み出した。