【ピオリア(米アリゾナ州)25日(日本時間26日)=木崎英夫通信員】今季初の実戦で、事もなげに持ち味を発揮した。マリナーズ・イチロー外野手(37)が紅白戦に「1番右翼」で出場し2安打。1打席目だった。初球から2球ファウルで追い込まれたが、3球目の外寄りチェンジアップをたたきつける。高くバウンドさせた打球が三遊間を抜けていく。2回2死二塁の2打席目。カウント1ボール1ストライクからのスプリットに上体は泳いだ。しかしバットを最後は手から離す感覚で当て内野安打。キャンプ7日目で迎えた実戦。イチローは「初日はちょっと早いかもしれないけど、2日目からやってもいいかなというぐらいですね」と、順調ぶりを見せつけた。

 もっとも、ウェッジ監督が目を細めたのは自らの意思でスタートを切った走塁だった。1回は4番ケネディーの3球目に絶妙なスタート。これがファウルだったが「効果的でアグレッシブな走塁」を掲げるウェッジ野球には欠かせない動きだった。

 昨季、マ軍はチーム打率、出塁率、長打率の全てでメジャーワースト。またチーム本塁打101もア・リーグ最低。昨季本塁打15本以上の選手がおらず、走塁に活路を見いだすのは当然。足も仕上がっているイチローに必要なのは「ゲームの中でしか僕は出来ないと思ってるから」と話す本来の感覚の蘇生。27日から始まるオープン戦という次のステージに、シーズンを見据える一挙手一投足で臨む。