【メリーベール(米アリゾナ州)12日(日本時間13日)=四竈衛】仙台で生まれ育ったブルワーズ斎藤隆投手(41)が、東日本大震災の被災地に対し、悲痛な思いを語った。この日の午前6時前後、ようやく「奇跡的に」(斎藤)、実兄の携帯電話につながった。病床の父をはじめ、母、兄らの無事を自ら確認した。「ライフラインも切れているし、軽々しく大丈夫と言える状況ではないです」。

 斎藤の実家は、仙台市若林区。津波発生後、同区内で200~300人の遺体が発見されたとの一報を耳にした。横浜在住の妻との電話やインターネットで情報を収集しながらも「22年間仙台で育ちましたし、出てくる地名でどんどん友達の顔が浮かんできました」と憔悴(しょうすい)しきった表情で言った。。

 今後、一時帰国するか、両親らを避難先として横浜で受け入れるかなどを検討中だが、現時点で結論には至っていない。「何をやるべきか、今はちょっと難しい。メジャーリーガーとしてやらせてもらっていますが、今は仙台生まれの人間として、家族だけでなく、東北全域のことを…」。体調次第では13日のロイヤルズ戦に登板する可能性もある。だが、大ベテランの斎藤でも、今は野球に集中できる状態ではない。