<レンジャーズ1-3アスレチックス>◇1日(日本時間2日)◇レンジャーズボールパーク

 レンジャーズ・ダルビッシュ有投手(25)が、晴れ舞台へのラストチャンスへ再スタートを切った。オールスター(10日=カンザスシティー)の監督推薦や選手間投票の出場選手が発表されたが選ばれなかった。インターネット投票で「最後の1人」を決める5人の候補には入った。アスレチックス戦では7回3失点で5敗目を喫し、7連勝中だった本拠地で初黒星も、自己最多タイの11三振を奪う猛アピールをかけた。

 熱烈なテキサスのファンのハートをダルビッシュがくすぐった。動揺も失意も見せずに1票1票を、積み上げていくような105球。登板6時間前にスタートしたオールスター33選手の発表では名前が挙がらずに、向かったマウンドで荒々しく攻めた。

 言葉とは、対照的だった。「あとはファンの方が決めることなので。僕はもう静かにしています」。ファンが最後の1人を選ぶ「ファイナルボート(最終投票)」の候補にリストアップされた。今季の実績、人気十分の選手が名を連ねる、栄誉ある“敗者復活戦”への進出が決定。その直後、「K」の山を築いていった。

 前回6月7日に今季最多タイ6失点で敗れたア軍。「調子が序盤から最後までずっと良かった」とねじ伏せにかかった。最速96マイル(約155キロ)の速球に多彩な変化球で緩急を使い、生きた。6回に暴投で勝ち越し点を献上。7回に7番モスに甘く入った初球の直球系を本塁打された以外、ほぼ完璧だった。

 熱狂的なテキサスのファンの怒りを代弁するような力投だった。真っ赤なダルビッシュTシャツを着用して登場した18歳の女子高生ベッシーさんは、ほっぺたを膨らませながら嘆いた。オールスターに選ばれず「Why?

 クールで、ピッチングもすごいのに。必ず投票するわ」とご立腹だった。大ファンの2人の息子を持つ主婦シャンクスさん(42)は「あれは、ないわ。だからもう投票してきたわ」。11歳のカルビン君、8歳のヘンリー君と一緒に3票を投じてから、応援に駆けつけたという。

 ダルビッシュは打線の援護なく5敗目。7戦負けなしだった本拠地で初黒星を喫したが「残念ですけれど、このホーム球場で投げるのは幸せ。感謝しています」と感慨深そうに言った。

 「最後の1人」は5日(日本時間6日)に締め切られる。6日か7日とみられる次回ツインズ戦を御礼登板にする。【高山通史】